高橋洋一の霞が関ウォッチ
ノーベル経済学賞と「国家内人工都市国家」 日本の「岩盤規制」との関係

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   2018年のノーベル経済学賞は、ウィリアム・ノードハウス米エール大教授とポール・ローマー米ニューヨーク大教授に決まった。

   ノードハウス氏は「気候変動を長期的なマクロ経済分析に組み込んだ」功績、ローマー氏は「技術革新を長期的なマクロ経済分析に組み込んだ」功績が評価された。

  • ノーベル経済学賞が決まった(画像は「ノーベル賞」公式サイトより)
    ノーベル経済学賞が決まった(画像は「ノーベル賞」公式サイトより)
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「チャーターシティ」構想

   ノードハウス氏は、環境問題への対処として有名な「炭素税」の実質的な提唱者であり、最近『気候カジノ 経済学から見た地球温暖化問題の最適解』という本を出している。「気候カジノ」というタイトルでは何を言っているのか分からないが、副題の「経済学から見た地球温暖化問題の最適解」が書かれている。ノードハウス氏の研究である環境会計は、実際の政策立案にとても役立っている。兄であるボブ・ノードハウス氏は、環境弁護士であり、兄弟で環境問題で活躍している。

   ローマー氏は、同世代に同名の経済学者がいるのでややこしい。デヴィット・ローマー氏とその妻であるクリスティーナ・ローマーはそれぞれマクロ経済、大恐慌の研究家として有名であるが、今回ノーベル賞を受賞したポール・ローマー氏は新しい内生的成長モデルで顕著な貢献をした。

   ある番組で、ローマー氏の教科書を取り上げて、数式が難しいといっていたようであるが、それはデヴィット・ローマー氏のものだろう。アメリカ人でもよく間違える。

   ローマー氏も、机上の経済理論だけではなく、実際の事業活動にも熱心である。ローマー氏は、2000年にアプリア社という名の会社を立ち上げ成功した。アプリア社はオンライン教育の世界の先駆けの会社。

   さらに、ローマー氏は、一定の開発規制を事前に政府に与えて、国家内都市国家のような、一から新しい都市をつくる「チャーターシティ」構想もある。これは魅力的な考えであり、13世紀から17世紀まで繁栄したハンザ同盟、17世紀の北米で信仰の自由を売りにした植民地ペンシルヴァニア、香港、シンガポール、深セン経済特区などを発想のベースにしている。

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