北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の愛車に「異変」があったとして、憶測が広がっている。正恩氏はベンツで移動するのが通例だが、2018年10月7日に米国のポンペオ国務長官が北朝鮮を訪問した際、会談相手の正恩氏の車のホイールにあったのは「R」の文字。
英ロールス・ロイス社製の車両に乗り換えた可能性もあり、その背景が注目されている。
「世界で最も豪華な車」ファントムで登場
正恩氏は板門店内も北朝鮮の国章が入ったベンツの防弾仕様車「S600プルマン・ガード」を愛用していることで知られてきた。4月に板門店で行われた南北首脳会談の際は、12人のボディーガードが専用車を囲んで板門店の北朝鮮側区域を移動したことが話題になった。6月にシンガポールで行われた米朝首脳会談では、ベンツをわざわざシンガポールに持ち込んで移動した。
10月7日のポンペオ氏の4回目の訪朝では、平壌の百花園迎賓館で正恩氏との昼食会が開かれた。現場に到着した正恩氏の様子をとらえた米国務省の写真に、ロールス・ロイスらしき車両が映り込んでいた。
東亜日報によると、この車両はロールス・ロイスの高級車「ファントム」。「基本仕様の車両価格が6億ウォン(約5800万円)を上回る世界で最も豪華な車」だと解説している。
制裁の「ザル」ぶりアピールを狙う?
北朝鮮は06年の核実験強行後、国連安保理決議で高級車を含むぜいたく品の禁輸措置を科されている。正恩氏としては、ベンツ以外の高級車も使用していることを示すことで、制裁の実効性がないことを改めて示す狙いがあるとみられる。
トランプ政権としては、北朝鮮が非核化するまでは制裁を継続する方針だ。正恩氏はポンペオ氏を「熱烈に歓迎した」(朝鮮中央津信)はずだが、ロールス・ロイスでの登場は「米国の外交トップに対する、ちょっとした平手打ちだと解釈される」(CNN)との声も出ている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)