大阪・毎日放送制作のバラエティ番組「林先生が驚く初耳学!」で、イギリスでは、黒猫はインスタ映えしないので手放す人が増えていると紹介したところ、飼い主らから反発が相次いでいる。
4年前の現地報道を根拠にしているが、どこまで本当なのだろうか。また、日本では、どうなっているのか。
イギリスでは、保護の7割が黒猫だと番組で指摘
TBS系で2018年10月7日夜に放送された番組では、「絶対に耳を塞ぎたくなる初耳学」として、10位までを紹介した。
2位に挙げられた「猫のタブー」は、「インスタ映えのせいで捨てられる黒猫が急増中」という内容だった。林修さん(53)は、このタブーに首をひねり、「初耳」を選んだ。
番組では、「この現象が起こっているのがイギリス」だとした。「そもそもイギリスでは、黒猫は『幸運を呼ぶ』として縁起のよい動物とされているが、近年捨てられる黒猫が社会問題になっています」とも指摘した。
そのことの報道例として、4年前に英ローカルニュースサイトに載った記事を挙げた。そこでは、「イギリス動物虐待防止協会(RSPCA)」が保護している猫約1000匹のうち、約700匹が黒猫だと報じている。実際の記事は、10月9日現在も残っており、そこでは確かに写真映りの理由から手放す飼い主がいるとされていた。
7日の番組では、世界中の猫の流通に詳しいというペットジャーナリストがインタビューで、「全身毛色が黒いので、目以外の鼻ですとか口ですとか、そういったところが同化してしまって、かわいく撮るのが難しい」として、黒猫を手放す人が増えてきていると解説していた。
日本では、黒猫は人気だといい、手放す人は1割弱
番組の放送後には、ツイッター上で、その内容について疑問の声が相次ぎ、あるツイートには、10月9日夕現在で20万件ほどの「いいね」が寄せられている。
「黒猫は写真、難しい」「確かに表情は捉えづらい」といった指摘はあったものの、自ら飼う黒猫の写真をアップして反論する人が多い。「写真の腕が無いのを黒猫のせいにすんな!」「可愛さが分からないなんて猫好きじゃない」「放すぐらいなら飼うな!!責任持てよ!!」などと書き込まれている。
本当に黒猫を手放す人は増えているのかについて、J-CASTニュースは10月9日、いくつかの保健所を取材した。
東京都内の千代田保健所では、引き取る猫のうち、黒猫は1割にも満たないぐらいで、増減も前と変わらないと言う。また、横浜市動物愛護センターでは、黒猫はここ3年で5~10%程度で、増えたり減ったりもないとした。これは以前から変わっていないといい、写真映りを理由に手放す人は聞いたことがないとしている。
日本動物虐待防止協会(Nippon SPCA)の藤村晃子代表は、取材にこう話した。
「イギリスでは、一部の地域で『幸運を呼ぶ』とされているかもしれませんが、もともと黒猫は『魔女の使い』という悪いイメージがあり、以前から捨てられていることが多いと聞いています。一方、日本では、『魔女の宅急便』などに登場するなどイメージがいいので、黒猫は人気があるようです。協会にも、『いたら教えて下さい』と依頼が来るほどで、飼い主はすぐに見つかります。インスタに黒猫の写真を載せるとシルエットが映えますし、写真映りが悪いから黒猫が捨てられるという状況は把握していないですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)