「とんねるずの生ダラ」で大ブレイク
もうひとつ、強く印象に残っているのが、輪島さんが言った「感謝の心」だ。
金銭問題で角界から追放される形で廃業し、プロレスを引退してからは輪島さんの周囲から潮が引くように人が去っていったという。その中で輪島さんに手を差し伸べたのが、お笑いコンビ、とんねるずの2人だった。
大相撲時代の輪島さんの大ファンだったという、とんねるずの石橋貴明氏のたっての願いで輪島さんは「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」(日本テレビ系)に出演。輪島さんは準レギュラーに定着し、天然ボケタレントとして大活躍し、相撲時代を知らない若者の間で大ブレイクした。
輪島さんによると、この番組がきっかけとなり、テレビ出演などの仕事が増え、不安だった収入面も安定していったという。
「俺ね、タカちゃんとノリちゃんにはすごく感謝してるの。あの二人のおかげで今の俺があるんだから。感謝しきれないくらい感謝してるのよ。この気持ちを忘れたら人生おしまい」
とんねるずの番組の影響かどうかは定かではないが、2009年の初場所8日目にNHKの大相撲中継に出演。不祥事によって廃業した関係者がNHKの大相撲中継に出演するのは異例中の異例のことで、輪島さんが本場所の土俵を観戦したのは、23年ぶりだった。
2003年大晦日、記者は輪島さんと約束した。
「来年は一緒に石川に行こう。俺が全部手配して案内するから。絶対、約束だよ」
あれから15年、約束を果たせないまま輪島さんは逝ってしまった。合掌。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)