住宅販売鈍化と貿易戦争というリスク
しかし、経済の変調を示す指標も出始めている。
まず、火力発電の石炭消費量がマイナスに転じた。2018年8月期における発電量は前年同期比7.3%増だったが、国内六大火力発電所における8月の石炭消費量がマイナス4.1%と減少に転じ、9月上半期はそれがさらにマイナス8.7%となっている。これは、将来的に発電量の伸びが大幅に下落する可能性があることが危惧される。
次に、不動産販売が下落している。8月期における全国不動産販売伸び率は前年同期の9.9%から2.4%に下落した。現状ではプラス成長を維持しているが、最初の自家用住宅購入に適用される8月の全国住宅ローンの利率は5.69%で基準値の1.16倍となり、中長期ローンの伸び率は2017年2月に最高を記録した32%から今年8月には18%に落ちている。これは、今後の不動産販売が下降圧力を受けることを意味しよう。
不動産販売の伸び率がマイナスに転じれば、それと密接な関係にある家電、家具などの消費も衝撃を受けることは必至である。8月は輸出の伸び率も9.8%と高い数値を示し、2008年と2009年のマイナス成長から大きく改善されている。これは、中米貿易戦争の先行きが不透明な状況のなかで、少なからぬ企業が巨額の関税が課される前に前倒しの輸出を実施した結果であり、将来的には輸出伸び率が大幅に下落するリスクを抱えている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)