「おひねり」までQRコード化する中国
キャッシュレス化社会、というと、しばしば比較対象に挙げられるのは中国だ。
クレジットカードの普及が遅れた中国では、その代わりに「WeChat Pay」などのアプリを使ったスマホ決済が急速に広まっている。QRコードを読み取るだけと使い方は簡単、導入コストも安い。
2018年夏の中国・深センの街では、中小の商店からコンビニ、大手チェーンにいたるまで、あらゆる場所でスマホ決済がファースト・チョイスだった。紙幣を取り出すと「あ~、現金ね」という顔をされる。ストリートミュージシャンへの「おひねり」までQRコードだ。「現金派」だったのは(少なくとも記者が見た中では)路上の「物乞い」のみだった。
スマホ決済の普及は、新たな商機にもつながる。「自動販売機が当たり前なのは、治安がいい日本くらい」という話は、あなたも聞いたことがあるかもしれない。しかし中国でもキャッシュレスとなったことで、現金強奪のリスクが減少した。結果的に自販機はもちろん、スマホで開錠するシステムの「無人コンビニ」や、QRコードで料金を支払うと動き出す「有料マッサージチェア」など、日本ではなかなか見かけない業態が誕生している。