「我々に電子マネーを強制するな!」――そんなタイトルの談話を世に問うたのが、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、御年78歳だ。「現金世代」の鳥越氏としては、「支払いはキャッシュじゃないと落ち着かない」。電子マネー社会の進展に、大いに疑問を呈した。
ネット民からは冷笑を買ったこのご主張だが、とはいえ、鳥越氏のような人は、意外にも少なくない。政府も電子マネー社会、キャッシュレス化を強く推進しているが、なかなか思うように進んでいるとは言い難い。
「お釣りをもらって会話があるほうが...」
談話が掲載されたのは、2018年10月1日発売の「週刊ポスト」(10月19日号)だ。「老年の主張」と題したワイド特集の一環で、他の「各界の重鎮」とともに、今の世の中に物申している。
冒頭にも紹介したとおり、鳥越氏がやり玉に挙げたのは「電子マネー」である。キャッシュレス化が進む昨今、「現金派」の氏はようやく時折カードこそ使うようになったが、ガラケー派なのでスマートフォン決済はとてもじゃないが無理だ。
編集部による地の文でも、ある映画館では、キャッシュレス専用レジがガラガラなのに、現金専用レジが長蛇の列、という光景が見られるとして、「『電子マネーの使えない年寄りは行列に並べ』と言われているのと同じである」と担当記者が憤慨する。
「(キャッシュレス化は)確かに便利だけれど、レジで直接、お釣りを渡してもらって会話があるほうが、生活が明るくなるでしょ」
鳥越氏によるこんな訴えで、文章は締めくくられている。
この記事が、小学館のネットメディア「マネーポスト」に3日掲載されると、ツイッターなどのSNSには辛辣な声が広がった。