トヨタ自動車とソフトバンクという異業種の巨大企業が2018年10月4日、移動サービスの分野で提携し、新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を設立すると発表した。
記者会見にはソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とトヨタの豊田章男社長がそろって登場し、約30分間にわたって対談。2人は今回の提携を機に約20年ぶりに再会したといい、自動車メーカーとしては創業3代目の豊田氏は、「創業者」でもある孫氏への憧れを次々に口にした。
20年前に孫社長のオファーを豊田氏が断る
2人が出会った20年前は、豊田氏が課長として自動車情報サイト「GAZOO.com」を立ち上げた頃で、豊田氏は、サイトを通じて中古車のネット商談を実現し、それを新車でも行おうとしていた。そんなタイミングで、孫氏から米国で生まれた「ネットディーラー」というシステムの導入の提案があった。GAZOOにすべてをかけていた豊田氏からすれば、これは「ありえない!」話で、丁重に断った。
孫氏は当時、「やっぱりダメか...」と「がっくり」きたというが、
「ダメだったけれど、悪い感じではない。いつか何かの形でご縁があるのではないかという予感はあった」
といい、今回の提携話が持ち込まれた時には「まじか!」と、大喜びしたという。
ここで話は、「創業者」のあり方に及んだ。豊田氏は、豊田自動織機製作所などを創業したトヨタグループ創始者の佐吉氏、トヨタ自動車を創業した喜一郎氏、07年に米国の自動車殿堂入りした章一郎氏に続く4代目。自動車メーカーとしては3代目だ。孫氏の印象について聞かれた章男氏は、「たたき上げ」という言葉を繰り返しながら、「創業者」というものに対するあこがれを口にした。
「私の親族にも創業者は沢山おりますし、私自身は創業者ではないわけですから、そういう意味で、創業者というのは、どこを向き、何を悩み、そうやって(経営を)やっておられるか。それに加えて、高い志を持たれながら、やっぱりたたき上げというのがね、私が非常に孫さんに憧れるところでもありますよね。やっぱり『たたき上げのど根性』というかね、『ど根性』というか、『負けてたまるか』というか、そこのところが共通、共感しているところなので...」