スズキ「中国切り&インド注力」の決断 EV対応めぐり正念場

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インドネシアで大規模工場を稼働

   スズキの決断の根底には、シェア5割を誇るインド市場での強みがある。2017年度は165万台を売り、前年度から14%も伸ばすなど引き続き好調だ。ここに経営資源を集中し、インドを拠点に世界で戦う戦略だ。ただし、12年に世界2位の米国市場での自動車販売からも撤退しているスズキの主戦場はあくまで途上国。具体的には、インドに近い中近東やアフリカは日本のメーカーにはまだまだ未開拓の市場だ。さらに、まだまだ伸び白の大きい東南アジア市場でも、スズキは15年にインドネシアで大規模工場を稼働させるなど、布石を打っている。

   とはいえ、中国市場からの撤退の影響は想像以上に大きいとの見方もある。中国のEVシフトは、単に中国の空気をきれいにするという環境問題である以上に、中国独自のEVを育て、世界に打って出るという「国策」だ。将来の中国製EVは、低コストを武器に世界へ進出し、ガソリン車に大きな脅威となる可能性があるのだ。

   スズキは、中国市場からの撤退で、「こうした世界的な自動車市場の流れから取り残され、国際市場における競争でリスクを抱える恐れがある」(業界関係者)。特にインド政府もEV普及に本格的にかじを切り始めており、遠からずEV化の波が押し寄せるのは必至だ。現状でEVの独自のラインアップを持たないスズキは、トヨタの技術的支援も受け、2020年にインドでEV車を投入する計画で、インド・グジャラート工場敷地内にリチウムイオン電池工場を設けて20年の生産開始に向け準備を進めており、18年2月にはEVのエンジンの内製にも着手している。

   EVでは一日の長がある世界のメーカーが、巻き返しを狙ってインド市場に押し寄せるのは間違いなく、現状のガソリン車での圧倒的な優位をこれからも維持していけるか、スズキにとって正念場になる。

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