トヨタ、販売の4系列を事実上1本化 どこでも全車種を取り扱い

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   トヨタ自動車は2025年度をめどに、現在4系統あるトヨタブランドの販売店計約5000店で全車種を取り扱う方針を固めた。

   それぞれの系列で専売車を設け、顧客層の取り込みをすみ分けてきたが、人口減少やカーシェアリングの普及で市場が縮小する中、大胆に販売戦略を見直す必要があると判断した。国内向けの約60車種を約半分に絞り、効率化を図る方針だ。

日産やホンダは一足先に一本化

   現在、トヨタ車を扱う販売会社は、高級車中心のトヨタ店、中級車中心のトヨペット店、大衆車中心のカローラ店、若年層中心のネッツ店の4系列がある。

   トヨタ店は最も古い歴史を持ち、クラウンやランドクルーザーを扱う。

   トヨペット店は1953年に設立された2番目に古いチャネルで、かつてはコロナやマークⅡなどを販売し、日本の中級車市場をリードしてきた。現在はマークXやハリアーが代表車種だ。

   カローラ店は1961年にパブリカを扱うパブリカ店として営業をスタート。その後1969年にカローラ店に名称を変更した。カローラシリーズやパッソを扱う。

   ネッツ店は2004年にビスタ店が統合して誕生。ヴィッツなどのコンパクト車や、ヴォクシー、ヴェルファイアなどのミニバンをラインナップする。

   ハイブリッド車(HV)のアクアやプリウス、スポーツタイプ多目的車(SUV)のC-HRなどはどの系列でも扱っているし、カムリやエスティマなど、複数系列にまたがる車種もあるため、系列ごとの垣根は今でもそれほど高くないが、それが完全に取り除かれることになる。高級車ブランドのレクサスは4系列とは別に販売しており、そのまま残す。

   日産自動車やホンダは21世紀に入り系列販売を取りやめて、一足先に一本化している。いくつも系列があれば、それぞれの要望に応じて車種が増える。そんな不効率に耐えられなくなったということだ。トヨタも何もしなかったわけではなく、系列の垣根を取り除く試みに着手していた。2018年4月、100%子会社であるトヨタ東京販売ホールディングスと、その完全子会社である東京トヨタ自動車▽東京トヨペット▽トヨタ東京カローラ▽ネッツトヨタ東京の4社を2019年4月に統合し、新会社を設立すると発表している。

   とはいっても、東京はトヨタ直営だからできたこと。トヨタの販売網は約280社5000店に及び、その大半は地場の独立資本だ。販売会社を一気に統合するのは難しく、「トヨタ」「トヨペット」などの屋号は残すが、将来は屋号の統一が検討課題になる可能性もある。

   販売改革を進めるのは、新車販売台数を積み上げていくという従来型のビジネスモデルはいずれ行き詰まるとみているためだ。国内の新車販売台数は1990年に778万台だったが、2017年には523万台に減った。人口減少やカーシェアの普及で、右肩上がりの販売を期待するのは難しい。一方、自動運転やエコカーなどに使う研究開発費は右肩上がりに膨れ上がることが想定される。そこで販売体制を効率化し、カーシェアのような新たなサービスにも参入することで、ビジネスモデルの転換を図ろうというわけだ。

   全国5000店舗のインフラを活用し、新たなビジネスをどう展開するのかが問われることになる。

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