山根氏らは「過去」だけど
日本のドンと世界のドン。ともに裏社会とのつながりを指摘されているが、なぜボクシング界はこのような人物が組織の中に存在するのだろうか。
ボクシングはアマ、プロ問わず、青少年の健全な育成を掲げ、人生の横道に逸れた若者らの矯正の場としても門戸を広げている。プロではかつて罪を犯したボクサーがチャンピオンになることも少なくなく、暗い過去を持つ者を受け入れる土壌がある。これは選手に限ったことではない。
その代表的な例に挙げられるのが、元世界統一ヘビー級王者のマイク・タイソン氏とプロモーターのドン・キング氏だ。タイソン氏は12歳まで51回の逮捕歴があり、少年院でボクシングを学んだ。その後、更生して史上最年少で世界のベルトを巻いた。
奇抜な髪形で有名なキング氏は、過去に違法賭博と殺人罪で刑務所に服役した過去を持つ。服役後、ボクシングのプロモーターとして、タイソン氏をはじめとする数々のボクサーを世に送り出し、世界のドン・キングとしてその名をはせた。
山根前会長に代わって日本ボクシング連盟の新会長に就任した内田貞信氏もまた逮捕歴を持っている。会長就任時に、詐欺、強要、恐喝で逮捕された過去を自ら明かした。
ただ、これはあくまでも過去に犯した過ちであり、山根前会長にしても過去に裏社会とのつながりがあったことを認めているが、現在は関係を断っている。だが、ラヒモフ氏に関して、IOCは裏社会のつながりは現在進行形であると認識している。
IOCは11月のAIBA会長選でラヒモフ氏が新会長に選出された場合、12月に東京で行われるIOC理事会で厳しい措置を取ることを明言している。