大相撲の元小結・旭鷲山氏が2018年10月5日の「ビビット」(TBS系)で、元横綱・日馬富士が請求されている賠償金を「肩代わり」してもいいと発言したことに、インターネット上で「それは違う」とツッコミが殺到している。
巡業中の暴行傷害事件をめぐり、被害者の幕内・貴ノ岩が元日馬富士に損害賠償を請求したが、その額は2400万円を超える。旭鷲山氏は「早めに終わらせたい」との思いも明かしたが、ネット上では「外野がお金払って早期解決とか、そこじゃない」と、ズレを指摘する声があがった。
「早めに終わらせてあげたいと思っただけ」
貴ノ岩の代理人弁護士は4日、元日馬富士を相手取り、2413万5256円の損害賠償を求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。17年10月の巡業中に受けた暴行で生じた入院費や慰謝料などを足し合わせた額というが、元日馬富士の代理人弁護士は、50万円程度が妥当だとして即日猛反論している。
主張が真っ向対立する中、注目されたのがモンゴル力士の先駆けでもある旭鷲山氏だ。「ビビット」で電話取材の模様が放送され、
「建物をつくって住宅(ビジネス)で一番になって、今お金があるので、僕が代わりに払ってあげれば。賠償金はすべて僕が払ってもいい」
と、肩代わりする意思があることを宣言した。意図を明かす。
「何か月も続くと大変だから、早めに終わらせてあげたいと思っただけ。(経済的には)全然問題ない」
「日馬富士にはモンゴルに帰ってきて、今後仕事で頑張ってもらいたい。貴ノ岩には日本に残って相撲を頑張ってもらいたいだけなんですよ」
同郷の後輩2人の争いを見ていられない、といった具合だ。どちらか一方に肩入れするつもりでもなさそうに見える。ツイッター上では「払ってもらって早めに終わらせた方が両者にメリットは高いと思うけど...」と提案を前向きに捉える向きもあるが、「ちょっと待って」といった反発が数多い。
「旭鷲山、わかってないね。外野がお金払って早期解決とか、そこじゃない」
「優しさから言ってるのかもしれないがそれは違うと思うよ。金額云々だけではなく誠意と反省というものがそこにはあるのだと思うな」
「旭鷲山が出てくる話しではないんだけど。。日馬富士が責任を取るべき」
「とりあえず旭鷲山は口を開かない方がいい」
賠償金を肩代わりしてしまっては元日馬富士の責任が曖昧になる。また、「貴ノ岩側は、訴訟する事で賠償もそうだと思うけどあの日の事実をハッキリさせたいんだと思ってるんじゃないのかな」との声も。カラオケのリモコンで殴打などをし、本場所休場にもつながった暴行傷害事件の全容解明を、訴訟を通じて当事者同士でしてほしいようだ。
一方で、「もう旭鷲山は黙っといて...」「とりあえず旭鷲山は口を開かない方がいい」と、単純に旭鷲山氏への風当たりも強い。事件発覚当初の17年11~12月のメディアでの発言が背景にあるようだ。
例をあげれば、「あの部屋(貴乃花部屋)の人を殴ったことが間違いだと思う。他の親方だったら何とか話をつけるとか可能性あるけど、あの親方(貴乃花親方)だったら話聞かないと思う」(17年11月22日、フジテレビ系「とくダネ!」)と発言。事件の握り潰しを肯定するような言葉に、落語家の立川志らくさんが「他の親方なら揉み消せた?だから角界から暴力が消えないんだよ」(同日ツイッター)と疑問を呈すなど、批判を招いた。
ほか、旭鷲山氏は事件当日のことを、「ちょっと携帯をいじったら急に日馬富士がやってきて殴り始めた」(同年12月7日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」)と、貴ノ岩が一方的に突然暴力を振るわれたと話していた。だが、日本相撲協会の危機管理委員会の報告では、「白鵬が話をしている中で、貴ノ岩が携帯を操作していたのを日馬富士が注意したが、聞かなかったため怒った」と、前段階があったことが説明されていた。番組中、「貴ノ岩関が旭鷲山さんに言ってることと報告内容が違うんですけど...」と出演者が当惑する一幕もあった。
このような経緯から「あんたが入ると余計ややこしくなる」という声も漏れてしまっている。