元TBSアナウンサーで現在フリーの安東弘樹さん(50)が、他局番組でTBS時代の給料・給与事情について、具体的な数字を挙げて紹介した。
安東さん自身が「高かった」と振り返ったその額に対し、共演者は「えー!」と驚きの声を挙げていた。ツイッターなどネット上では、「そんなに貰ってんの」といった声が広がった。
「30~40代で1500~2000万円くらい」
安東さんは2018年10月5日未明、バラエティ番組「じっくり聞いタロウ」(テレビ東京系)にゲスト出演した。TBS時代には『アッコにおまかせ!』など人気番組を担当していたが3月に退社、フリーに転じて約半年が経っている。
安東さんは、子供時代のスペイン生活などについて語った。スタジオでの反応が一段と大きくなったのは、お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんとのやりとりの時だった。河本さんは、
「局のアナウンサーは給料が結構いいよ、というイメージしかない。TBSさんは?」
と質問。安東さんは
「だいたい30~40代で1500~2000万円くらい。高かったです」
と答えた。音声には「ピー音」もかからず、具体的な数字が放送された。ナレーションで「安東さんは当時、30代で普通のサラリーマンのおよそ3倍の年収1500万円」をもらっていたと説明、字幕でも「年収1500万円超え!」と表記される念の入れようだった。
河本さんは金額を聞いて、
「えー!」
と驚いていた。河本さんは「給料」という表現を使ったが、安東さんの回答額が、いわゆる基本給のイメージで使われることが多い「給料」部分のみなのか、給料に各種手当や残業代、賞与(ボーナス)などを加えた「給与(の年収)」なのかは、番組内でははっきりしなかった。
放送後、ツイッターやネット掲示板では、
「マスコミの住人と、世間の人間では金銭感覚がかなり違うんでしょうね」
「こんなに貰ってんの」
と、高額だとやや批判的に受けとめる反応が出ていた。一方で、
「アナウンサーは局の顔だから高給取りでも仕方ないだろう」
と理解を示す意見もあった。
NHK職員の年収は?
実際、マスコミ大手の年収は、安東さんが示したような数字なのだろうか。ビジネスニュースサイト「東洋経済オンライン」の「平均年収『全国トップ500社』最新ランキング」(2018年1月3日配信)に、民放各局のホールディングス会社が上位に登場していた(ただし、たとえばTBSの場合、「TBSテレビ(略称TBS)」は、TBSホールディングス(略称TBS HD)の100%出資子会社であり、別会社扱い)。
このランキング表で民放に絞って確認すると、民放トップ(全体4位)は「TBSホールディングス」で「平均年収 1661万円(平均年齢52.6歳)」だった。概ね、安東さんが紹介した数字に近い額になっている。
ランキングでは以下、全体6位に「朝日放送」(大阪府、テレビ朝日系)が「1515万円、43.3歳」、7位「フジ・メディア・ホールディングス」(1485万円、46.1歳)、9位「日本テレビ ホールディングス」(1427万円、48.7歳)、14位「テレビ東京ホールディングス」(1375万円、46.2歳)などとなっている。
もっとも、記事の方では注意書きがあり、ランキング上位に「ホールディングス」などの純粋持株会社が目立つが、「これらの会社はグループ全体の経営管理を行う少数の社員のみで構成されている場合が多く、現場の実態よりも平均年収が高くなる傾向があるので注意が必要だ」と指摘している。
また、NHKの職員年収については、NHK公式サイトの「よくある質問集」に回答が載っている。2017年度の数字として、「大卒モデル年収では、30歳で532万円、35歳で669万円」となっている。管理職は年俸制で、基本年俸は全国職員の場合、「課長クラス913.6万円、部長クラス1173万円、局長クラス1428万円」と表記している。
一方、国税庁が18年9月に発表した「民間給与実態統計調査」(17年分)によると、1年間に得た平均給与は432万2000円(前年比2.5%増)だった。男性は531万5000円、女性は287万円。また、役員を除く正規社員でみると493万7000円だった。先のテレビ東京番組が、「年収1500万円」を「普通のサラリーマンのおよそ3倍」と紹介したのは、こうした数字を念頭に置いているようだ。