柴山昌彦文科相が教育勅語について「道徳などに使うことができる分野は十分にある」となどと述べた問題で、野党はもちろん、与党内からも批判の声があがっている。
教育勅語をめぐっては、稲田朋美防衛相(当時)が「精神は取り戻すべき」と持論を述べて政権が火消しに追われた経緯がある。柴山氏は稲田氏の轍(てつ)を踏んだ形だ。
「同胞を大切にする」「国際的な協調を重んじる」点が現代風にアレンジ可能?
柴山氏は2018年10月2日の就任会見で、下村博文文科相(当時)の04年の発言を念頭に、記者から教育勅語について
「過去の文科大臣は『中身は至極まっとうなことが書かれている』といった発言をしている」
などと認識をただされたのに対して、
「それが現代風に解釈をされたり、あるいはアレンジをした形で、今の例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では普遍性を持っている部分が見て取れるのではないかというふうに思っている」
と発言。現代風にアレンジ可能な具体的な部分については、「同胞を大切にする」「国際的な協調を重んじる」という2点を挙げた。
直後から野党からは「認識違いが甚だしい」(立憲民主党・辻元清美国対委員長)などと批判が続出。これに続く形で与党内からも批判の声があがった。自民党の後藤田正純衆院議員は10月3日夜、フェイスブックに
「どうしてわざわざ教育勅語をもち出すのだろうか?毎度の光景、毎度の質問、毎度の変答」
と書き込み、あきれた様子。1948年に国会で教育勅語の失効確認と排除について決議していることや、「教育の目標」について記載がある教育基本法第2条を挙げながら、
「日本国憲法の国民主権がしっかり根付いた日本には、道徳や教育、普遍的価値についての進化した表現や文章はいくらでもあるのに。。。大前提として、当時の教育勅語は国民主権のもとで作られたものではないことは、それを読めば誰でもわかるはず」
と嘆いた。後藤田氏が所属するのは、総裁選で安倍晋三首相と激しく対立した石破派。政権との微妙な距離感も、今回の発言につながった可能性もありそうだ。