高橋監督「辞任」報道のタイミング 巨人の混乱ぶりが露呈

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   巨人の高橋由伸監督が今季限りで辞任することが2018年10月3日、決まった。3年契約の最終年となった今季は、Aクラスの可能性を残すものの、12年ぶりの負け越しが決定。高橋監督は責任を取る形で球団に辞意を申し入れ、了承された。後任は、これまで2度チームの指揮を執った原辰徳氏が最有力で、球団はシーズン終了後にも交渉に入る。

   高橋監督が監督に就任したのは2016年。その前年の15年9月に、巨人の現役3選手による野球賭博が発覚し、さらに16年3月に新たな野球賭博が判明した。球界の盟主を自負する巨人は、ダーティーなイメージを払拭させるためクリーンなイメージを持つ高橋を監督に「指名」。40歳の若き指揮官が誕生した。

  • 画像はイメージ
    画像はイメージ
  • 画像はイメージ

想定外の辞意表明

   現役にこだわり続けた高橋だったが、長嶋茂雄・終身名誉監督の強力な後押しもありバットを置いて監督に。読売グループ主導の人事は、現場の意向が反映されず、指導者の経験がなかった高橋を「クリーンで客の呼べる監督」として、半ば強引に監督の座に置いた。

   高橋監督の就任1年目の2016年シーズンは、首位広島に17.5ゲーム差をつけられての2位。翌シーズンは4位に沈み、今季は10月3日現在、3位につけCS進出に望みをつなぐも4位DeNAとはわずか0.5ゲーム差とBクラス転落の危機にある。

   3年契約の最終年で結果を出せずにいた高橋監督だったが、球団は先手を打って9月12日に早くも山口寿一オーナーが来季以降の続投を要請する意向を示した。シーズン終了後に正式に続投要請を行う手はずだったが、球団の思惑通りには事は運ばなかった。

   高橋監督の「辞任」は、球団の想定外だったのだろう。巨人の試合がない3日に山口オーナーが高橋監督の辞意をメディアに明かしたが、これは異例とも言える出来事だ。CS進出をかけてチームが戦っている真っただ中、高橋監督、選手への配慮に欠けるオーナーの発言は、球団の混乱ぶりを如実に物語っている。

実現すれば「球団初」

   「クリーンで客の呼べる監督」に代わって山口オーナーが次期監督に求めるのが「経験」と「実績」だ。これを受けてスポーツ各紙が3日付けの紙面で、球団が次期監督候補に原辰徳氏に一本化したと報じた。

   次期監督候補として現実的なのが、これまで監督経験のある原辰徳氏、中畑清氏、落合博満氏の3人だろう。巨人の生え抜きの中畑氏はDeNAで4年間、監督を務めたことから経験は十分にある。ただ、監督としての実績がなく、球団の意向にはそぐわない。

   昨年まで中日のGMで手腕を振るってきた落合氏に関しては、選手としての実績はもちろん、監督としての経験、実績も十分にある。だが、今回は時間に猶予がない。外様である落合氏を監督にさせるには、巨人OBの承諾が必須。10月25日に行われるドラフト会議までには次期監督を決めなければならない中、各OBの意見をまとめあげるにはあまりにも時間が少ない。

   第3次原政権が発足すれば、長い歴史を誇る巨人の歴史で初の出来事となる。これまで3度、(新・復帰政権として)開幕からチームを指揮した監督はいない。中島治康監督が3度、監督に就任しているが、そのうち2度はシーズン途中からで、開幕から指揮を執ったのは、長嶋茂雄監督、藤田元司監督、原辰徳監督の2度が最多である。

   また、日本プロ球界の歴史でも開幕から3度、指揮を執った監督は、中日の天知俊一監督と阪神の吉田義男監督の2人しかいない。原監督が誕生すれば史上3人目となるが、これこそが巨人がかかえるお家事情の象徴といえそうだ。

姉妹サイト