居酒屋のメニュー表に書かれていた、客に対する「注意書き」がツイッター上で話題を集めている。
その内容は、「初対面の人間に対して敬語も使えないような人は未来永劫来ないでください」といった、かなり攻めたもの。共感から反発までさまざまな声があがったが、一体どんな意図が込められているのか。店舗の書いた本人に聞いた。
「心の広い飲食店があるはずです。そっちへ行ってください」
ツイッターでメニュー表の一部の写真が投稿されたのは2018年9月30日。「大衆和牛酒場 コンロ家」代々木店のもので、来店客に向け、副社長名義で9項目のメッセージがつづられている。特に話題となったのは、こんな文章で始まる「その9」だ。
「『おい、生ビールひとつ』など、お酒を飲める年月の時間を歩んだにもかかわらず、初対面の人間に対して敬語も使えないような人は未来永劫来ないでください。お客様は神様ではありません、スタッフはあなたの奴隷ではありません。当店の奴隷です」
このうち「敬語も使えない」「お客様は神様ではありません、スタッフはあなたの奴隷ではありません」の部分は強調するように赤字で書かれている(他は黒字)。さらに、
「きっとこの世界のどこかには、あなたを王様のようにもてなしてくれる心の広い飲食店があるはずです。そっちへ行ってください」
と、くだけた文体で挑発的な文言が続けられている。
客に対するこうした独特な注意は反響を集めた。同様の思いを抱いていたユーザーもいたのか、
「いいお店ですね 是非行ってみたいです」
「此方の言ってる事凄くわかる」
と共感の声が殺到。一方で、
「こんな上からの店行きたくない...」
「敬語使わないと...みたいな上から目線の店もどうかと思う」
と反発の声も少なくなかった。
また、スタッフは「当店の奴隷」とした表現にも「スタッフは当店の奴隷なのね? そこスルーしちゃダメよね?」などと引っかかるユーザーも。中には「そのお店、色々ブラックなんじゃないかなって、ちょっと心配になってしまった」との声もあった。
「明らかにギャグだなと分かるでしょう」
一体どんな意図でこうした強めの文章が書かれたのか。10月3日、書いた本人である「コンロ家」の蒲池(かまち)章一郎副社長がJ-CASTニュースの取材に応じ、
「普通の文体で書いたら印象悪いと思ったからですね。こういう書き方をすると、明らかにギャグだなと分かるでしょう。『面白いことをやる』というコンセプトに則り、内容を考えて記載しています」
と話した。
メニュー表の上部には「必読」という大きな文字が目に入るが、この2文字の横に小さく「ず」「まないでもいいです」とある。「必ず読まないでもいいです」という1文になる。つまり大真面目な注意書きではないのである。それでもわざわざ書いているのは、
「私たちの良いところを伝えたいのと、プラスこうしてくれたら私たちも助かり、結果的にお客様にもメリットがありますよ、ということはお伝えしたいですね」
との考えからだ。
同じメニュー表は代々木店に限らず、他店舗にも置かれている。副社長自身が実際に客と具体的なトラブルに遭ったわけではなく、純粋に「面白いものを」との思いでこの文章を書いたという。
一方、ツイッターの一部で反発も招いた「(スタッフは)当店の奴隷です」という一節。「ブラック」などの指摘があることについて、副社長は「その辺のユーモアが分からない店員はいないですね。こういう冗談にツッコみ始めたらキリがないでしょう」とのことだった。
また、客を楽しませるために書いたとはいえ「お客様は神様ではありません。スタッフはあなたの奴隷ではありません」といったくだりについて、「本心ですか?」と聞くと、副社長は「あくまで前提はギャグですが...、間違ったことは言っていないとは思います」と話していた。
なお、コンロ家は以前もツイッター上で、「『おい、生ビール』...1000円(税別)、『生一つ持ってきて』...500円(税別)、『すいません。生一つください』...380円(定価)」と、注文時の言い方で値段が変わることを表す張り紙が投稿され、話題を集めていた。