千代の富士とも共通した弱点
弟子からの信頼も厚かった。北の湖親方の付け人を長く勤め、9月場所限りで引退したロシア出身の大露羅(山響部屋)は、「北の湖部屋に入れたのは一番良かった」と振り勝った。来日間もないころ、実の父が亡くなった際、北の湖親方に「オヤジと呼んでいいですか」と申し入れ、以来、親方を「オヤジ」と呼んでいた。
貴乃花は親方になってから弟子の育成に関しては評価が高く、弟子もまた親方に心を寄せていたが、協会内での人望は北の湖親方に遠く及ばない。若くして脳梗塞を患った大鵬は別として、千代の富士もまた貴乃花と同様に人望のなさから理事長になることが出来なったという。
「情」の北の湖親方に対して、今回の騒動における貴乃花親方の一連の言動はその真逆であった。これこそが、同じ一代年寄ながら両者の運命を分けたのだろうか。