「私が三億円事件の実行者です」 自称犯人の告白が「小説家になろう」に...信憑性は?

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   「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」――こんなタイトルの「告白文」が、今ネット上で話題を呼んでいる。

   三億円事件。その「犯人」を自称する人物や、「真相解明」をうたう書籍は、これまでたびたび登場してきたが、今なお未解決のままだ。また同じ穴のムジナか――と思いきや、ちょっと今回は趣が違う。というのも、その文章が公開されたのが、人気投稿サイト「小説家になろう」なのだ。

  • 三億円事件の犯人が告白?(画像はイメージです)
    三億円事件の犯人が告白?(画像はイメージです)
  • 三億円事件の犯人が告白?(画像はイメージです)

妻の死をきっかけに「告白」決意

「小説家になろうをご覧の皆さん。
この場を借りて、ひとつの告白をさせていただきます。
--府中三億円事件を計画、実行したのは私です。
今なお語り継がれる未解決事件の全貌を、みなさんにお話し致します」

   「小説家になろう」に掲載された独白は、こんな一文から始まる。最初の投稿は2018年8月8日、以後は中断を挟みながらもコンスタントに書き継がれ、9月23日に「完結」した。分量はおよそ8万字だ。

   「白田」を名乗る筆者は現在、子どもや孫にも恵まれ、平穏な生活を送っている。ところが先日、事件の共犯者でもあった妻が事故死した。これをきっかけに、真相を語り残すことを決意、息子の勧めもあり、マスコミではなく「あらぬ脚色等や偏見もなく」自らの文章を直接読んでもらえるサイトとして、「小説家になろう」への投稿を決めた――というのが、その筋書きだ。

   三億円事件は1968年12月10日、白バイ警官を装う犯人が、現金輸送車ごと約3億円を奪い去った事件だ。その鮮やかな手口、そして半世紀が経つ今なお真相が明らかになっていないことから、戦後最大の未解決事件ともいわれる。

   一方「小説家になろう」は日本最大級の小説投稿サイトである。ここから書籍化・アニメ化された作品も数多い。一方で、寄せられる作品の多くはファンタジーもののライトノベルで(その作風を半ば揶揄して「なろう系」とも)、読者は若い世代が中心である。そんなサイトに突如、事件の「真相」とされるものが投稿された――その経緯のミステリアスさもあいまって、ツイッターやまとめブログなども通じ、話題が拡大している。

白バイの「真相」とは?

   その内容はどのようなものか。

   筆者である「白田」は、実際に事件の有力容疑者とされた「少年S」(父が白バイ警官だったため捜査線上に浮上も、直後に自殺。作中では「省吾」と呼ばれている)の友人だと名乗る。

   学生運動に挫折した白田は、その過程で思いついた「現金輸送車を襲う」というアイデアを親友の「省吾」に持ちかける。2人は協力して計画を練るが、省吾の恋人「京子」をめぐる三角関係もあって、白田は省吾への不信を募らせるように。最終的に、彼を出し抜いて京子と2人で計画を決行、ジュラルミンケースに省吾の父の警察手帳を残して逃亡する――というのが、語られる「真相」のあらましだ。こうした経緯や、その間の筆者の心情が、もう一人の女性「三神」との恋愛なども交えながら語られる。

   ツイッターでは、

「なんか今んとこ本当っぽいんだよなー」
「発煙筒の着火法やジュラルミンケースの中の遺留物に関してもしっかり押さえてたから マジなのかなー」
「本当に本人なのかな」

など、「もしかして......」と期待をかける人もいる一方、「明らかに嘘くさい」と不審がる向きも。確かに、その文体はいかにも小説調で、また当時の写真のような「物証」もなし。ネット上には描写のつじつまの合わなさを指摘する声もあり、その意味ではどうしても眉唾感は否めない。一方で「昼から夢中で読んでしまった」「本当かどうかは分からんけど面白い」など、真偽はともかく「読み物」としては興味深い、という声も少なくない。

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