ロイター社の報道によると、中国米国商会と上海米国商会は2018年8月29日から9月5日にかけて、430社余りの在中国米国企業を対象にした米中貿易戦争に関する調査結果を9月13日にその報告を発表した。それによれば、米中の貿易戦争がますます熾烈になる中、在中国米国企業の損害は「顕著で深遠」な状態であることが明らかになった。
上海米国商会のケネス・ジャレット会長によると、この調査の目的の一つは、米国商会が今月遅くに議会議員と会うときに必要なデータを提供するものであるという。
米国政府は助けるべき企業に打撃を与える
米中は幾度かの交渉を行ってはいるが、米中貿易摩擦の状況が悪化するにつれ、7月以降、互いにすでに500億ドルの商品に課税し、米国のトランプ大統領は「その他にも2000億ドルの中国商品に追徴課税する、ひいてはさらに多くの課税を行う」とまで高言すると、9月24日に実施し、中国もすぐ反撃に出た。今後、トランプ大統領は残りの2670億ドルの中国輸入品に対して同じく高い関税を課税する可能性がある。
今回の調査によると、調査を受けた在中国米国企業のうち60%強が「米国の関税は業務運営に影響を与えている」と答え、同様に60%を超える企業が「中国の米国商品に対して増徴した関税が業務へ影響を与えている」と答えた。
米国企業は、「関税が利益を圧迫し、その製品に対する需要を弱め、生産コストを押し上げている」と感じている。
調査する時点では、2000億ドルの中国からの輸入品に高い関税を課税することとなっていなかったが、調査を受けた企業の4分の3近くが、「もし米国がさらに2000億ドルの中国輸入商品に対する関税を課すならば、業務への更なる打撃となる」と言い、70%近くが「中国のさらなる報復課税が、業務を不利なものにする」と回答した。
「この調査は、関税がすでに米国企業にマイナスの衝撃を与えており、もし米国がさらに2000億ドルの中国商品に課税するならば、さらなる苦しみをもたらすだろうというわれわれの憂慮を裏付けている」と、上海米国商会のエリック・チャン主席はロイター社に語っている。
また、彼はさらに「米国政府は本来ならば彼らが助けるべき企業に打撃を与えることになる」と指摘。 「われわれはトランプ大統領が米中貿易関係を再構築し、長期的な不公平待遇という問題の解決と公平な競争環境の構築に努めることは支持します。しかし、この目標は関税賦課以外の措置によって実現することができるはずです」と、報復関税の応酬に懸念を隠さない。
中国では関税以外の圧力も増加
報復関税では、中国は今後、米国と同等規模の措置を行使することはできないかもしれないが、その他の措置を行うかもしれないということはすでに警告されている。52%を超える調査対象者が、「すでにこうした措置の影響を受けている」と答えているが、それは主に検査の増加、通関速度の遅れ、さらには官僚の監督あるいは監督・審査の増加などである。
しかし、調査企業の3分の2近くが、生産設備を中国から移転させる予定はなく、そのようなことは考えてもいないという。その予定があるという企業のうち、主要な移転先は東南アジアとインド亜大陸であり、米国へ戻ることを考慮している企業は6%に過ぎなかった。このほか、3分の1近い企業が、現在投資の延期・取り消しを検討中で、貿易情勢緊迫がもたらす不確定性が際立っている。
それでも、約30%の企業が、今まさにサプライチェーンの調整を行っているところであり、米国以外でのマーケットで部品調達あるいは組み立てを行う手だてをさぐっており、約30%の企業が中国以外のマーケットで部品調達あるいは組み立てを行おうとしている。
中国では、アメリカ企業の受けた影響は、2019年からよりはっきりと出てきて、米国だけでなく中国経済も縮小するのではないかと予想されている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)