吉野家が中国で「ザリガニ丼」売り出した理由 海外800店舗を実現したローカライズ戦略

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あくまで現地のお客が最優先

   日本の吉野家に慣れた目からは、こうしたラインアップは時に奇異に見える。だが、海外の吉野家のお客は、日本人ではない。現地に暮らす人たちである。

   それを象徴するのが、「牛丼の味の違い」のエピソードだ。

「日本の方が海外で吉野家の牛丼を食べた際、なんか味が違うと思うと言われます。これは、牛丼のたれは吉野家オリジナルですが、現地の米、水、現地のたまねぎなどで煮込むことで、日本とまったく同様にはならず、現地の味が出来上がるからです」(広報担当者)

   特に米を主食とする地域では、現地で食べられる米に合わせないと、受け入れてもらうのは難しい。「主力の顧客でない日本人がどう感じるかでなく、現地のお客さまが美味しいと思う商品を提供し続けるため、現地の意見を大切にしています」と担当者は言う。

   メニューに限らず、店の作りも現地の事情に合わせている。たとえば記者が訪れた深センの店舗は、日本流のカウンター席ではなく、フードコートのようなテーブル&セルフサービス式だった。実際、米国や台湾への進出当初はカウンター席を導入したものの、現地では受け入れられず、すぐにテーブル席に改装したこともあったという。

   海外1号店を米デンバーに開店して43年。着実にその勢力を伸ばし、8月時点で米国、中国、台湾、インドネシアなどに829店舗を数える。10年前の2倍以上だ。さらに2019年からの3か年で、国内の店舗数(8月時点で1205店)を追い抜くことを目指す。

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