2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が2018年9月26日から募っている大会ボランティアの応募手続きが「煩雑すぎる」などとして、SNS上で非難を浴びている。
公式サイトの応募フォームから個人情報などを入力するのだが、項目が多いと指摘されているほか、入力エラー時に表示される特徴的なポップアップもストレスの要因となっているようだ。こうした声を組織委はどう受け止めるか。
「約30分かかります」
組織委の公式サイトから「大会ボランティアに応募する」のボタンを押すと、応募登録に関する説明のページにつながる。ページ冒頭でいきなり、
「応募フォームの入力には約30分かかりますが、入力途中で保存することが可能です」
との注意書きがある。
応募にあたり必要な情報として6つのステップに分割されていることも示されている。ステップ1は氏名・性別など、2は住所・連絡先など、3はボランティア経験など、4は語学やスポーツ経験、5は希望する活動、最後に6で参加規約への同意など、といった具合だ。
実際に大会ボランティアの応募フォームに移動すると、上記の通りまずステップ1が表示。ここでの必須は10項目あり、そのほか任意項目がいくつかある。
上から順に入力していくと、最下部に「保存」「送信」「キャンセル」の3つのボタンがあるのが分かる。「送信」でステップ2へ進むのだろうかとも思えるが、そうではない。
ページ最上部に「ステップ1~6」へとタブを切り替えるボタンがあるのだ。つまり、各ステップで一番下の項目まで入力した後、いったんページの一番上に戻って、別のステップのタブを押す、という作業を繰り返す必要がある。そして全てのステップの必須項目を入力して初めて「送信」できる。
都議「この仕組みはさすがに厳しすぎる」
インターネット上の報告を見ると、ステップ1の最下部で誤って「送信」を押してしまうケースがあるようだ。するとどうなるかと言えば、「~~は必須項目です」と、入力エラーを指摘するポップアップが表示される。黒い背景に、赤・白のバツ印というどこか不気味なカラーリングで、スマートフォンの場合はほぼ横幅いっぱいの大きさ。しかも、未入力の必須項目の数だけポップアップの枠が現れるため、多ければ数十個のポップアップがズラリと縦に並ぶ。これらは1つ1つタップ(クリック)しなければ消えないため、煩雑さが感じられやすいと見られる。
このような躓きやすい場面が何度か登場するため、ツイッター上では、
「何か、悪質なウィルスにでも感染したかの様なエラー表示ですね...」
「応募の時点ですでに戦いは始まっているのだ(相手はいったい...)」
「あまりに難解。悪戦苦闘」
といった感想が続出。受付開始早々、ネガティブな評判を集めてしまった。
東京都議の音喜多駿氏も応募フォームについて言及した。27日のブログで、実際にトライしたとして「これは確かに大問題だ......!」として、
「万人単位の人を集めるボランティアフォームで、しかも若年層ばかりが申し込みするわけではないサイトで、この仕組みはさすがに厳しすぎると思います」
との見解。「本件も東京都を通じて私から五輪組織委に改善を提言していく所存です」としている。なお、システム開発を担ったのは、フランスに本社を置く世界的IT企業で、大会公式パートナーのアトス社だ。
「入力項目数は過去大会よりも減らしております」
このような声を組織委はどう受け止めているか。戦略広報課は27日、J-CASTニュースの取材に対し、
「入力にあたりお時間をいただきご不便をおかけしますが、皆様へのサポートとしまして、コールセンターやメールでのご質問をお受けしているほか、応募入力についての動画、マニュアル、よくご質問いただく内容のFAQをご用意しております」
と、利便性を高める施策を打っている旨を回答。また、
「ご応募される方のご負担を配慮し、入力項目数は過去大会よりも減らしております」
という。
ユーザビリティを考慮し、応募フォームの変更をしていく可能性については、
「現在、システム自体の大きな改定は予定しておりませんが、これら(編注:上記のサポート体制)も参照いただきながらスムーズに入力いただけますよう、ご意見も踏まえながら更新し、入力のサポートを行ってまいります」
と答えた。
確かに公式サイト上では、応募フォームの入力手順を動画やPDF文書で伝えている。こうした取り組みもあってか、インターネット上では、「難しいとか言っている層はそもそも応募するつもりのない感じしますし、マニュアルすら読んでなさそう」といった声も少なからずみられる。
大会ボランティアの応募受付は12月5日まで。組織委では8万人、東京都では3万人(窓口は別)を募集している。