阪神は2018年9月27日、DeNAに3-4で敗れ、本拠地甲子園で5連敗を喫した。これで阪神は今季、甲子園での成績を19勝35敗2分けとし、1995年に記録した球団ワーストの甲子園最多敗戦38敗まであと「3」となった。
本来、使い慣れた球場で戦うホームでは、ファンの声援の後押しもあり、相手チームと比べて絶対的に優位な立場にあるはず。実際、セ・リーグ6球団の今季のホームとロードの成績を見てみると、ホームで負け越してロードで勝ち越しているのは阪神だけで、おかしな逆転現象が起こっている。
甲子園神話がついに崩壊
27日のゲームは、甲子園での連敗脱出に望みがある展開だった。DeNAに2点を先制されるも5回に大山悠輔のラニングホームランで同点とし、6回には梅野隆太郎の中前打で勝ち越した。だが、投手陣が踏ん張れず逆転負けを喫した。
甲子園は他の球場よりも広く、攻撃的な野球よりも守備的な野球が有利とされ、本塁打が出にくいことでも知られる。今季、打撃陣は長い不振が続いているが、これを投手陣の踏ん張りでカバーしてきた。打線が貧弱でも投手陣が安定していれば甲子園では勝てる。
実際、序盤の5月29日の交流戦前までは、甲子園で投手陣が奮闘し、12勝9敗と勝ち越している。ただ、以降は例年にないほどの貧打にあえぎ続けた。ここまでチームが甲子園で放った本塁打は19本。いくら守備的な野球が有利でも、野球は点を取らないと勝てない。投手陣にかかる負担は相当なものとなる。
それでも投手陣はファンの期待に応え続けてきた。今季、甲子園で6回終了時にリードしていた試合は17勝0敗1分けだった。投手陣が終盤の逆転を許さず、神話になりつつあった。だが、それも27日に崩壊。ここにきて、中継ぎ、リリーフ陣の疲労の色が濃くなり、投壊寸前である。
規定打席に到達はたった4人だけ
一方で、6回終了時にリードされ逆転した試合はわずか2試合。裏の攻撃で有利なはずのホームゲームで、打線がその優位性を生かしきれないのが現実だ。
終盤に逆転出来ないのは、甲子園に限ったことではないが、その要因のひとつとして、試合を通じてメンバーがしっかりと固定していないことが挙げられる。現在の阪神には不動のレギュラーとされる選手は少なく、投手の球に目が慣れてくる終盤に打者の入れ替えが多くみられる。ここまで規定打席に到達しているのは、糸井嘉男、福留孝介、糸原健斗、梅野隆太郎の4人だけで、これが逆転出来ない阪神の象徴でもある。
また、阪神の宿命ともいえる高校野球の夏の甲子園大会の影響も大きい。今年は8月5日から8月21日まで大会が行われたが、その間、阪神は通称「死のロード」での戦いを強いられる。今季は20試合のロードが続いた。他球団にはない移動続きのロードは、プロ選手といえども体力の消耗は激しい。今季、夏の甲子園後の成績は3勝9敗1分けと大きく負け越している。
27日の敗戦で、今季、甲子園での借金は「16」まで膨らんだ。1978年に記録した球団ワーストの「17」まであと1つに迫った。甲子園でのゲームを5試合残しており、ワースト更新の可能性も。
すでに優勝の可能性は消滅しているものの、3位DeNAとは3.5ゲーム差で、CS進出の可能性を残している。3位でCSに進出すれば相手の本拠地での戦いとなるが、今の阪神にとってはかえって好都合かもしれない。
というのも、ロードの中でも阪神が驚異的な強さを見せるのが、横浜スタジアムだ。今季、横浜スタジアムでの成績は、13戦して10勝3敗と、地元DeNAを圧倒している。阪神ファンからは「DeNAよりもハマスタでの戦い方を知っている球団」と揶揄され、「横浜スタジアムをホームに」との声が上がるほどの勝率を誇っているからだ。