元関脇の貴闘力忠茂さん(50)が、かつて日本相撲協会の理事全員がいる席で、相撲取りになる息子がいるから協会の不利益になることを言うなと言われたと、テレビ番組で告白した。
協会の圧力を理由に引退届を出した貴乃花親方(46)を擁護する中で出た発言で、事実ならパワハラではないかとネット上で騒ぎになっている。
日テレ系番組「スッキリ」に生出演して暴露
貴闘力さんが出演したのは、2018年9月26日朝放送の日本テレビ系情報番組「スッキリ」だ。
貴闘力さんによると、大相撲秋場所初日の9日、貴乃花親方から「弟子を増やしたいから、ちょっと協力してくれ」と言われ、貴闘力さんの息子2人も預けるように要請されたという。
それから2週間余での引退発表で、貴乃花親方が25日に会見することについても、「知らなかった」「びっくりした」と明かした。弟子の育成に意欲を示した貴乃花親方が突然辞めることについて、日馬富士事件などの騒動で後輩からも罵倒され、「ずっと我慢していたのに、切れちゃったのかもしれない」とした。
そして、司会の加藤浩次さんが、貴乃花親方の行き場所がなくなるように協会が5つある一門のどれかに入るルールを作ったように見えると聞くと、こう答えた。
「それもありますよね。しかし、そう言ったら、またみんなに怒られるかもしれない。いろいろいるじゃないですか、協会の人間で『お前、変なこと言ってたら、自分の子供いるんだよ』とか、『子供いじめるよ』とか言われたら、何も言えないじゃないですか」
加藤さんは、驚いた様子で「そんなことあるんですか?」と問い返すと、貴闘力さんは、「ありますよ、それは」と断言した。
「退職している人の発言に、見解は言わない」
すると、スタジオは騒然となり、「それはすごく問題」と出演者から声が上がった。
貴闘力さんは、そのまま話を続け、2010年に野球賭博問題で解雇されたときのことをこう暴露したのだ。
「だって、正直な話、俺がクビになるときに、理事全員いる前で、『お前、協会に不利益になること言ったら、子供が相撲取りに入るんだから、お前ちゃんと静かにしとけよ』って言われて、それで今までずっと、あんまり言わないで、ずっと我慢してたんですよ」
この発言には、加藤浩次さんも、「今日、ちょっと言っちゃったということですね」と目を丸くしていた。
貴闘力さんによると、相撲協会が貴乃花親方に圧力をかけるというのは日常茶飯事だったという。現役時代に貴乃花親方にやり込められ、立場が逆転したら貴乃花親方をやり込めるケースも多いともいう。
貴闘力さんは、「自分は貴乃花の考えの方が正しいと思ったから、一緒に着いて行った」と告白した。そして、国会議員になって協会と戦うようアドバイスもしたが、貴乃花親方には一蹴されたとも明かした。
相撲協会は、貴乃花親方に圧力をかけたことは会見で否定したが、貴闘力さんの場合はどうなのか。
協会の広報部にJ-CASTニュースが26日に取材すると、「そもそも番組は拝見していませんし、退職している人の発言に見解を述べることは致しません」と担当者が答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)