プロ野球・中日ドラゴンズの浅尾拓也投手(33)が2018年9月26日、今シーズン限りでの現役引退を表明し、会見を行った。
シーズンMVPやシーズン最多ホールド記録を保持するなど日本を代表するリリーフ投手だったが、33歳の若さでユニフォームを脱ぐことになった。
「酷使」の起用法へ外国人選手から批判も
浅尾投手は2007年に中日に入団。リリーフエースとして活躍し、11年には両リーグを通じて初めて中継ぎ投手としてシーズンMVPに選出された。抜群の安定感と甘いマスクから絶大な人気を誇ったが、チームの連覇に貢献した10年から11年にかけて2年連続で70試合以上に登板するなど、登板過多も指摘された。実際に12年以降登板試合数は激減し、ここ数年は右肩の故障からの復活を模索していたが、全盛期の力を取り戻すことはできなかった。
浅尾投手に限らず、NPBでは中継ぎは短命といわれるポジションだ。酷使・短命が半ば宿命となっているNPBでのリリーバーに関するツイーター上のやりとりの中で、今年8月にソフトバンクのデニス・サファテ投手が、浅尾投手に言及する内容に反応して
「That's the Dragons fault. They ran him out there every day for multiple innings. It's a shame, I always thought he had the best stuff that I had ever seen.#wearenotrobots#protectyourarms」
と、その起用法を批判する一幕があった。「我々はロボットではない」「自分の肩を守れ」というハッシュタグとともに、「自分がこれまで見た中で最高の投手だった浅尾を毎日回跨ぎさせたのはドラゴンズの失敗だ」(編集部訳)などと持論を展開している。これには元ヤクルトで現在MLBテキサス・レンジャーズでプレーするトニー・バーネット投手も「同意」とリプライを寄せた。
「使ってくださることが、一番の喜びでした」
それでも浅尾投手本人は、今回の引退会見で当時の起用について、
「試合数の多さのことよりも、自分を信用して、使ってくださることが、一番の喜びでした」
と振り返っており、後悔していない様子だった。どんな起用法・コンディションでも不平を言わずに投げ続けた姿に心打たれたファンも多く、ツイッターでも
「酷使してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、あの黄金期は浅尾無しでは成立しなかった」
といった声があふれた。
一方、その浅尾投手ともにドラゴンズ黄金期の「勝利の方程式」を担った岩瀬仁紀投手(43)は、12球団現役最年長ながら今年も1軍で活躍し、9月25日現在、前人未踏の1000試合登板まであと1試合に迫っている。1999年の入団以来ずっと中継ぎや抑えで活躍し続けた鉄腕ぶりに、ネットでは
「まさか浅尾の方が岩瀬より先に引退だなんて」
「改めて岩瀬の息の長さに驚く」
と、入れ替わりの激しいポジションでの岩瀬投手の息の長さに驚嘆する声もあがった。その岩瀬投手も一部メディアで今季限りでの引退が報じられており、去就が注目されている。