米男子プロゴルフツアーのプレーオフ最終戦、ツアー選手権最終日が23日(日本時間24日)、イーストレイクGCで行われ、タイガー・ウッズ(米国)が、通算11アンダーで優勝した。ウッズの米ツアー優勝は5季1876日ぶり。ツアー通算優勝回数を「80」に伸ばした絶対王者が、5年の時を経て復活の雄たけびを上げた。
タイガーの復活劇に全米が注目 レジェンド・ニクラウスも復活に太鼓判
最終18番ホール。グリーン上のウッズは、観客の熱気に包まれた。熱狂的なファンが「U・S・A」を連呼する。15センチのパーパット。ウッズは冷静にこれを沈めると、両こぶしを天に向けて突き上げた。42歳のタイガーが、5年ぶりに世界の舞台に舞い戻ってきた瞬間だった。
2009年にウッズの不倫が発覚してから私生活はトラブルが続いた。翌2010年7月には妻エリンさんと離婚。米メディアは、ウッズが支払った慰謝料を7億5000万ドル(約840億円)と報じた。2017年5月には、薬物などの影響下で車を運転したとして逮捕され、うつろな表情で警官に事情を説明する衝撃的な写真が世界を駆け巡った。
劇的な復活劇に全米が注目した。米ゴルフチャンネルなど複数のメディアによると、ツアー選手権を放映した番組が驚異的な視聴率をたたき出したという。パーセントに代わって視聴率の指標となるレーティングがプレーオフシリーズ史上最高の「5.21」を記録。昨季大会と比べると約3倍アップで、今季トーナメントの最高記録だという。また、この数字は米国の人気ドラマの視聴率に匹敵するもの。
ウッズの復活を確信するジャック・ニクラウス氏(米国)は当地のゴルフチャンネルの取材に対して、今後10年間、最高のレベルで戦うことが出来ると明言した。その要因として、用具の進化と、ウッズの徹底した体調管理を上げ、50代に入ってもしっかりとプレー出来るとし、「タイガーはメジャー大会にあと40回出場したとして、5回は優勝できるかもしれない」とコメントした。
42歳のウッズを支えるモチベーションとなっているのが2020年東京五輪出場だ。20日の会見では「ちょうどこれから2年後。そこまでコンスタントにプレーしないと」と意気込みを語っている。
2020年東京五輪への出場条件とは
2年後、東京でウッズを見ることが出来るだろうか。ゴルフの米国代表として東京五輪に出場するには、世界ランキングをベースにした五輪ランキングで上位60位に入らなければならない。代表選出条件の詳細はまだ明らかになっていないが、2016年リオ五輪とほぼ同様のものとされる。リオ五輪のものと照らし合わせると、2020年7月時点の世界ランキング15位以内に入っている選手であれば、各国最大4人まで出場出来る。世界ランキング16位以下の選手の場合、有資格者を含め、1カ国2人を上限とする。
今年のはじめ656位だった世界ランキングも現在13位で上昇。ただ、上位15位までにウッズを含め9人の米国選手がひしめき合い、ウッズは9人中7位。米国は世界で最も過酷な代表争いとされるだけに、2年間、体調とランキングをキープし続けるのは至難の業だ。
次週は2年に1度行われる「ライダーカップ」への米国代表として参戦が決定している。サッカーのW杯、オリンピックに次いで世界で3番目に観戦人口が多いとされる大会に3大会ぶりに復帰を果たす。今年初めに選手としてではなく、プレーをしない副キャプテンとしての参加を打診されたが、今シーズンの活躍が認められ、今回キャプテン推薦で選手として参加することになった。
周囲も認めるウッズの完全復活。米国代表として新たなキャリアを積むことで2年後の東京五輪にまた一歩近付く。44歳が東京五輪の舞台に立つのも決して夢物語ではなさそうだ。