新潮社の看板が「落書き」される事件が起きた。
看板は、新潮文庫でおなじみのパンダのキャラクターと「Yonda?」のキャッチコピーが書かれているもの。その「Yonda?」の上部に、2018年9月23日ごろ、「あのヘイト本、」という文字が書き加えられたのだ。
ブルーシートがかけられ...
東京メトロ東西線「神楽坂駅」の2番出口から出ると、新潮社の旧倉庫をリノベーションした商業施設「ラカグ(la kagu)」が現れる。その敷地の入口左側に、問題の看板がある。
J-CASTニュース編集部は24日昼ごろ、現地を訪れた。横長の大きな看板は、目の前が開けた駐車場ということもあって、すぐに見つかった。
ただ、記者が訪れた際は落書き部分の上にブルーシートがかけられていた。そのブルーシートが逆に目立ってしまっているためか、ときおり通行人が視線を向けていた。近所の人に話を聞くと「23日昼前には落書きがあった」という。
新潮社本館はラカグのすぐ後ろにある。ブルーシートは新潮社側による「応急処置」とみられる。J-CASTニュースは24日、新潮社に詳しい話を聞こうと本社に電話したが、休日のためか、応答はなかった。
新潮社といえば、9月18日発売の「新潮45」10月号に掲載した特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」が問題視され、LGBT当事者や文芸関係者を中心に批判の声が高まっていた。
これを受け、同社の佐藤隆信社長は21日、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました」とする声明を出した。
批評性の高いアート作品との声も
だれが書いたものかは不明だが、今回の落書きはツイッター上で画像が拡散しており、「あのヘイト本」については「新潮45」を指していると見る向きが強い。反応はさまざまで、
「落書きの真髄を見た」
「このレスポンスの早さ見習いたいなぁ」
「一瞬、バンクシーを思い出した。犯罪なんだろうけど、センスがある。したらダメなんだけどね」
などと一定の評価を示す声もあれば、
「間違い無く...器物破損で犯罪だね...」
「出版物に対する抗議は、同じく文章でやるべき。ヘイトに対抗するからと言って、犯罪を犯すべきでは無い」
などと「器物損壊罪」として非難する声、
「落書きは違法行為だけど、ここまでなってしまった事を新潮社は全社あげて真摯に反省すべき」
と問題視した上で、行為の「発端」を作った新潮社に意見する声などが寄せられている。
作家・演出家で早稲田大学教授の宮沢章夫さんは24日、ツイッターで次のようにコメントした。
「僕を担当してくれる新潮社の編集者を僕は信頼している。彼らに多くのことを教えられた。その上で、この看板について言えば、批評性の高いアート作品として面いと言わざるをえない」(原文ママ)