「妊娠はしておらず」 結婚報道の「奇妙な常套句」なぜ生まれたのか

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「授かり婚」普及とも時期重なる

   「ところがこの20年ほどで、社会的状況が変わった」と肥留間氏は続ける。

「不倫、あとは薬物や事故などの反社会的行為には風当たりがキツくなる一方、芸能人に厳しい倫理観を求める意識がなくなり、良く言えばなんでも隠さずに出せるようになった。交際くらい当たり前、なんなら妊娠だっていいじゃないかと」

   昔なら大スキャンダルだった「できちゃった婚」も、いつしか「なんだ、『でき婚』か」程度の扱いに。だからこそその逆、「妊娠はしておらず」ということもわざわざ書かれるようになった、というわけだ。

   厚生労働省の統計によると、「結婚期間が妊娠期間より短い出生数が嫡出第1子出生に占める割合」――つまり、「できちゃった婚」が夫婦の第1子に占める割合は、1980年には12.6%程度だったが、2000年には26.3%に達し、以後も25%前後で推移している。また2005年ごろからは、「授かり婚」など、できちゃった婚をポジティブに言い換える動きも出始めた。「妊娠はしておらず」普及とほぼ同じ時期である。

   「妊娠はしておらず」という不思議な表現は、2000年代前半のこうした社会の変化を反映して生まれたものだといえる。

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