大坂なおみ、「格下に苦戦」のワケ 「凱旋V」への課題も浮き彫り

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   テニスの全米オープン女王の大坂なおみ(日清食品)が2018年9月21日、東レ・パンパシフィック・オープン女子シングルス準々決勝に登場し、世界ランキング25位バルボラ・ストリコバ(チェコ)を6-3、6-4のストレートで下し、2年ぶり2度目のベスト4進出を決めた。

   これが地元の重圧なのだろうか。コート上の大坂は、いつにも増して体に力が入っていた。第1セットの第1ゲーム、ストリコバの正確なリターンに苦しみ2度のデュースの末、ようやくゲームをキープ。波乱を予感させる立ち上がりだった。

  • 大坂なおみ選手(18年9月撮影)
    大坂なおみ選手(18年9月撮影)
  • 大坂なおみ選手(18年9月撮影)

体力的に大坂に大きなアドバンテージ

   第4、第8ゲームをブレイクし、第1ゲームを先取したが、第1ゲームのファーストサーブの成功率は47%だった。大坂の大きな武器は200キロのサーブ。ファーストサーブの精度が落ちればプレーに大きく響く。第1セットはストリコバにセカンドサーブをことごとく拾われた。

   第2ゲームに入っても大坂のギアは上がらない。ファーストサーブの精度は相変わらず低く、ストリコバの粘りに苦戦を強いられた。互いにゲームをキープして2-2で迎えた第5ゲーム。このゲームがこの日の勝負の行方を決めた。

   疲れの見え始めたストリコバが3つのダブルフォルトで自滅。大坂は労せずこのゲームをブレイクした。その後は互いにゲームをキープしてゲームセット。第10ゲームのマッチポイントで、大坂が見せたサービスエースがこの日一番の見せどころだった。

   ストリコバが世界ランク25位とはいえ、戦前、これほどの苦戦は予想されていなかった。ストリコバは前日20日のシングルス2回戦で3時間5分の死闘を演じ、その直後のダブルス準々決勝では1時間14分。中一日の20歳の大坂に対して、32歳のストリコバは前日に4時間19分を戦い抜き、体力的に大坂に大きなアドバンテージがあった。

弱さの中にある真の強さ

   波に乗れば絶対的な強さを見せる一方で、この日のようにファーストサーブがなかなか決まらない試合では自身よりもランキングで劣る選手に苦戦することも見られる。若さゆえか、大会を通じて波があり、実際、優勝した全米オープンでもその傾向が見られた。

   4回戦で対戦したアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)に大いに苦しめられた。第1セットを6─3で先取したものの、サーブ、ショットともに精度を欠き、第2セットを2─6で落とした。最後は相手のミスに助けられ、6─4で勝利したが、よほど精神的に追い詰め垂れていたのか、試合後、「全てのポイントで戦うことだけを考えていた。たとえ足が折れてもいいと思いながら、全てのボールに食らいついていった」と涙ながらに語り、感情を爆発させた。

   この一戦を機に、一気に波に乗った。以後の快進撃は記憶に新しい。準々決勝を6-1、6-1で圧倒し、準決勝も6-2、6-4とストレート勝ち。決勝でもセリーナ・ウィリアムズ(米国)を6-2、6-4のストレートで下し、グランドスラム制覇を遂げた。

   今回の21日の試合では「弱点」を露呈した形となったが、気持ちの切り替えの早さもまた、大坂の持ち味だ。全米オープンで見せたように、200キロの高速サーブが蘇れば、凱旋Vが視界に入ってくる。

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