ヤンキース田中の「快挙」支える投球術 5年間にみる「進化」とは

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「速球派」からモデルチェンジ

   田中の全投球におけるストレートの比率をみてみると、年を追うごとに低下しているのが分かる。メジャー1年目は全体の40.6%を占めたが、翌年は32.5%まで落ち、3年目31.6%、4年目27.7%と明らかに割合が低下している。今シーズンは25%台まで落ち、スライダーとスプリットが50%以上を占めている。このように「速球派」からモデルチェンジした田中だが、抜群の制球力を誇るからこその成功といえる。

   これまでメジャーで活躍した日本人投手では、野茂英雄氏、佐々木主浩氏など速球を主武器にした投手もいるが、野茂氏と佐々木氏には絶対的な武器であるフォークを持っていた。一方で当時の日本最速となる158キロを記録し、メジャーに挑戦した五十嵐亮太氏は、制球難に苦しみ、メジャー3年間で5勝に終わった。

   「技巧派」投手としてメジャーで実績を残したのが、長谷川滋利氏、吉井理人氏、上原浩治氏らだ。野茂氏や佐々木氏のような速球は持ち合わせていなかったが、制球力と変化球のキレで怪力メジャーリーガーを封じ込めてきた。3選手ともにメジャーデビューが遅く、当時は通用するかどうか疑問の声もあったほど。この3選手は、メジャーでは正確なコントロールと、ある程度の球種を持っていれば速球はいらないということを証明した。

   自身のメジャー最多勝利となる14勝まであと2勝。ヤンキースが残す試合は10試合で、田中の登板機会は恐らくあと2回だろう。ポストシーズンのワイルドカードが濃厚で、もう少し田中の投球が見ることが出来そうだ。

   「速球派」から「技巧派」へモデルチェンジして5年連続の2ケタ勝利の田中。来シーズンの記録更新が期待される。

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