V逸で待望論高まるも 掛布雅之が阪神監督になれない理由

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当時のオーナー激怒させた「事件」

   1987年3月、シーズンを直前に控え、掛布氏は飲酒運転で逮捕された。阪神の人気選手の現行犯逮捕に衝撃が走り、当時の久万俊二郎オーナーの怒りはすさまじく、「うちの4番は欠陥商品。野球選手以前に人間として失格だ」とこき下ろした。さらに「私の目の黒いうちは、彼を絶対にウチの監督にはしない」と周囲にもらしたという。

   久万オーナーは頑ななまでに掛布氏を許すことはなく、実際、久万氏がオーナーを務めている間に掛布氏が阪神のユニホームに袖を通すことはなかった。その間、掛布氏に他球団から監督のオファーがあったというが、阪神ファンに育ててもらった選手として、「まずは阪神ファンに恩返しをしたい」との理由で固辞し続けた。

   「ミスタータイガース」が阪神の指導者としてグランドに立ったのは、久万オーナーの死去から2年後の2013年だった。新設のゼネラルマネジャー付育成&打撃コーディネーターに就任し、同年の秋季キャンプから指導を始めた。その2年後の2015年には、金本監督の強い要望で2軍監督に就任。3年間にわたって若手の育成に努めた。

   2軍監督時代は、自身の野球理論を無理に押し付けることなく、徹底して選手と話し合うことで若手の可能性を伸ばしてきた。掛布氏のマンツーマン指導を受け、「掛布チルドレン」と呼ばれた伊藤隼太、中谷将大、原口文仁、高山俊らは、それぞれ1軍に定着し、着実に結果を残している。掛布氏の指導力は高く評価されていたが、2017年のシーズンを最後に監督から退いた。2018年シーズンからは「オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー」としてフロント入りしている。

   2軍監督として実績を残した掛布氏はなぜ、1軍の要職に就くことが出来なかったのか。大いに疑問が残る点であるが、一部で金本監督との確執の噂もある。2軍監督就任は、掛布氏の「野球観」に共感した金本監督の強い要望があって実現した。だが、時間の経過とともに徐々に2人の間で「野球観」のズレが生じはじめたといい、ついに掛布氏の「1軍昇格」は実現しなかった。

   プロ野球に通じる関係者によると、阪神のフロントは長期的に金本監督を育てていく方針で、現時点でもその方向性は変わらす続投の可能性が高いという。一方で全国区の人気を誇る掛布氏は、球団としては魅力的で、次期監督候補の一人であることには変わりはない。シーズン終了後の阪神フロントの決断が注目される。

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