NPB参加の前に立ちはだかる企業の「品格」
プロ野球球団の参加資格に関しては、野球規約に細かく記載されている。この規約すべてをクリアし、参加したい年の前年11月30日までにオーナー会議の承認を得なければならない。金銭面でいえば、球団買収にかかる費用とは別に、NPBに納める預かり保証金25億円、野球振興協力金4億円、加入手数料1億円の計30億円が必要となる。2012年に横浜ベイスターズを買収したDeNAの球団取得総額は約95億円だったとされる。
前澤氏にとって資金面ではまったく問題はないが、大きな「障害」となるのが各球団のオーナーらの存在だろう。新たに参加する企業に求められるのは企業の「品格」で、参加するにふさわしいかどうかはオーナー会議で判断される。「品格」の定義は実に曖昧で、各オーナーの個人的見解に委ねられている。近年、楽天やDeNAなどのベンチャー企業がNPBに参加しているが、日本有数の優良企業を親会社に持つ球団のオーナーらの古い体質はいまだ改善されず、それは排他的であるといわれている。
世界を飛び越え、宇宙を視野に入れている前澤氏だけに、NPBの参加がならなかった場合、MLB進出の可能性は十分にある。MLB参加に関しては、日本のような規約はなく、ビジネスライクなもの。また、上記の米ツアー参戦が正式決定すれば、米国におけるスタートトゥデイの知名度は飛躍的に上がり、さらに米ツアーに加え、MBLの球団を持てば、全米にビジネスチャンスが広がる。
ちなみに2017年9月に元ヤンキースのデレク・ジーター氏、実業家のブルース・シャーマン氏が中心のグループがマーリンズ球団を買収した際の金額は、米メディアによると12億ドル(約1356億円)。過去最高額は、2014年に元NBAのスター選手、マジック・ジョンソン氏らのグループが、ドジャースを買収した際の20億ドル(約1660億円)とされる。宇宙的スケールを持ち合わせる前澤氏のMLB進出は決して夢物語ではない。