「ぎぼむす」最終回と「安室引退特番」。放送前から視聴者の関心が高く、しかも放送時間が重複するため、その対決について注目が集まっていた両番組。
結果は、「ぎぼむす」の視聴率19.2%に対し、安室さんの引退特番が15.0%(各メディア報道)。4%差で「ぎぼむす」勝利となったが、その理由は、順当なものだった。
「ぎぼむす」には感動、安室特番には感謝の言葉があふれる
「ぎぼむす」こと「義母と娘のブルース」(TBS系)は、桜沢鈴さんの同名の4コママンガが原作。キャリアウーマンの主人公・亜希子(綾瀬はるかさん)が、8歳の娘・みゆき(上白石萌歌さん)を持つ男性と再婚し、継母として子育てに奮闘する10年間を描いた作品。
2018年9月19日の最終回では、亜希子がコンサルティング会社への引き抜き話を持ち掛けられる中、みゆきが大学を受験するシーンをメインに放送した。
終盤では、みゆきが合格した大学に進学するか否かで揺れる様子を描きつつ、作中の10年間を振り返って家族愛を再確認するシーンが感動を呼んだ。
視聴者からは「こんな風に全力で娘を愛せるのが、清々しい」「これまでの子育てを振り返るのはずるい」「涙腺が崩壊した」などの声がネット上にあふれた。
歌手の安室奈美恵さん(40)の引退特番「これで見納め! 安室奈美恵引退スペシャル!~最後の1年と最後の1日に独占密着~」(日本テレビ系)はドキュメンタリー。
デビュー当初の所属ユニット「スーパーモンキーズ」の頃から、その当時のテレビ番組の映像を随所に挟んで特集。これに加えて、昨年9月の引退表明後から密着したスタッフに対して話す本人の姿を随所に挿入するなど、「安室の世界」を濃厚に映し出した。
ほかにも、2月から行われていたドームツアーの裏側やアルバム「Finally」のレコーディング風景、9月15日に行われた引退コンサートの様子を放送。
視聴者からは、「改めて安室ちゃんに感謝です」「本当に本当にお疲れ様でした」といった感謝の言葉のほか、「事前に引退が発表されていたからこそ、笑顔で安室ちゃんを送り出せた」など、惜別の声が殺到した。
「ぎぼむす」勝利はコンテンツとしての強さが要因
ネットでは双方の番組への称賛が相次いだが、両番組対決という面でも話題となった。その辺りを意識してか、番組構成でも工夫がみられた。
放送開始時間が1時間ほど先行していた「安室引退特番」では、「ぎぼむす」の放送が始まる22時の30秒ほど前から、安室さんとイモトアヤコさん(32)の対面シーンを放送した。
これは「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の7月29日放送回でオンエアされたもの。22時ちょうどにイモトさんが背後の安室さんに気付くシーンが放送されたため、視聴者からは「1番いいところを合わせてきましたね」などの声が上がった。
今回の視聴率対決について、芸能評論家の肥留間正明さんは以下のように分析する。
「テレビ不況と言われる昨今では、視聴率が10%を超えれば大成功と言われますので、両番組とも非常に健闘したと言えるでしょう。今回、両番組の放送時間帯にはそれほど強いコンテンツはほかに見当たらなかったので、視聴者がこの2番組に集中したと思われます」
また、「ぎぼむす」の視聴率が安室さんの引退特番を上回った理由については、
「そもそも、コンテンツとしての強さでは、ドラマはドキュメンタリーよりも強いので、第1話から10%を超えていた『ぎぼむす』が、安室さんの特番を4.2ポイント上回ったのは順当な結果と言えるでしょう。なお、放送時間が重なっていなければ、ぎぼむすの視聴率は25%前後に達したのではないでしょうか」
と分析する。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)