あの曙復活させた実績も
土屋医師とはどのような人物なのだろうか。同愛記念病院の院長である土屋医師は、球界はもちろん、角界でも靭帯の権威として古くから知られている。大相撲の国技館が蔵前にあるころから相撲部屋とのつながりがあり、高砂部屋とは特につながりが深いといわれている。国技館が両国に移転してからも関係性は続いており、同愛記念病院が両国国技館に隣接した場所にあることから、本場所中に靭帯を損傷した力士の「駆け込み寺」ともなっている。
当時、高砂部屋系列の東関部屋に所属していた元横綱曙もまた、土屋医師の手によって復活した力士のひとり。長年、靭帯損傷によって両膝の痛みに悩まされていた曙だったが、土屋医師の治療によって回復し、2000年九州場所で復活優勝を遂げた。球界のみならず角界での確かな実績が、大谷の信頼に結びついている。
米国の医師が手術を勧めていることから大谷の右肘の状態は、靭帯が断裂した状態で手術を要する「グレード3」に近い「グレード2」だと推測される。現時点で土屋医師が手術を勧めるかどうかは不明だが、手術を否定するとは考えにくい。また、球団は投手として1年の猶予を容認する意向を見せており、打者としての来季の展望は明るい。最終的な判断を下すのは大谷本人であるが、周囲の環境は整っており、手術に向けて大きな障害は見あがらない。