EVメーカーの技術不足も問題
もちろん、電池の自然発火の責任をすべて電池生産業者に負わせることはできない。現在、多くのEVメーカーは電池モジュールや電池のセルを外部調達し、それらの組み立てを自ら行っているが、システムを組み立てる技術基準に到達しておらず、問題が起きやすくなっているとされる。
上述の電池技術者によれば、彼ら自身の電池もかつて事故が発生したが、工場に戻して検査したところ発見された問題は、メーカーの組み立て時に規範化する手順がなく、生産の際にネジを堅く締めなかったため、充電の途中に電池が膨張し、ネジが緩んだことが原因であったという。
各自動車メーカーが電池組み立て業務に食い込もうとしているが、厳格な技術手順がないままでは、今後も高い事故発生率が続くことになるだろう。
また、ある上場電池企業の幹部によれば、某自動車メーカーに視察に訪れた際、そこにEVに水冷却システムがないことを発見し、今後も水冷却システムの導入も考慮していないと知って、そのEVメーカーからの買い付けを拒絶したという。コストを減らすため、もっとも大事な水冷却システムもつけないようなEVは、電池が高温でショートする可能性がより高くなる。水冷却はぜったいに省略してはいけないシステムなのだ。
中国国家工業・情報化部装備工業司の瞿国春副司長は9月1日に開かれたあるEV業界の会議で次のように語った。
「安全はわれわれ新エネルギー自動車発展において必ず保持するべきボトムラインであり、われわれ全業界のあらゆる参与者がこれについて真剣に対応することを望んでいる」
『財経』誌に掲載された文章は、次のような心配を述べている。
「新エネルギー自動車の核心的部品のひとつとして、動力電池企業は自身の実力を強化しなければ、資本の信頼を失う恐れがあり、これは業界の未来に暗い影を投げかけるものとなるだろう」
(在北京ジャーナリスト 陳言)