「障害者を雇用していない人々にまともな政策が打てますか」 水増し問題が、単なる「ごまかし」で終わらない理由

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「明日、あなたの心臓にペースメーカーが入ったらどうしますか」

   コンサルの仕事では、企業から「障害者を雇いたいけど、どうすればいいか分からない」と相談を受けることが多い。雇用するうえで大事なことは何なのか。

「障害者の仕事というと、書類をそろえたり、単純作業をしたりしてもらおうか、と考える方が多いです。しかし、『明日、あなたの心臓にペースメーカーが入ることになったらどうしますか? あなたの仕事はすぐに単純作業に変わりますか?』という風に聞くと、『そんなことはない』と言われます。

これは突飛な想定ではありません。障害がない方も、病気や事故にあう可能性は常にあります。障害者雇用の発展は、そのリスク管理にもなります。働く人にとっては『自分の身にもし何かあっても、この会社なら頑張れそうだ』という安心感につながります。

一口に障害者といってもいろんな人がいます。知的・精神・身体、さらに個別の障害があります。障害のない人とほとんど変わらない仕事ができる人もいます。それぞれが具体的に働く姿を想像することが重要です。障害がある当事者の目線も必要になってきます。企業でも省庁でも同じです」

   厚労省が18年4月に発表した推計によれば、日本にいる障害者は936万人、人口比率にして約7.4%だ。初瀬氏は「世の中にこれだけの人がいるのに、国では『当事者』が全然いないところでバリアフリー社会などの政策を考えていたのが恐ろしいです」と率直な不安を口にした。

「障害者を雇用していない人々にまともな政策が打てますか。私の知り合いで、ある省に全盲の女性が出向したのですが、受け入れまでに1年以上かかりました。理由は設備的に対応できなかったということでした。最も率先して整備していてほしい国の機関で、です」
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