美少女バーチャルユーチューバー「キズナアイ」が、「一部の人を傷つけた」としてライブ配信の動画アーカイブを中止にしたことを、公式ツイッターで明らかにした。
どんな内容についてかは触れなかったが、台湾の国旗を載せて中国人から不満が出ていたためでは、との憶測が流れている。
「私の行動で悲しむ人がいることがイヤ」
キズナアイは、アニメの美少女キャラとして2016年に登場し、ゲームの実況などをするユーチューブ上の番組「A.I.Channel」を運営するなどしている。番組の登録者数は、18年9月14日までに200万人を突破し、英語や韓国語の字幕も載せて海外でも人気が出ている。
9月13日夜は、この夏に海外で行ったイベントを振り返り、視聴者へのクイズでプレゼントも企画する内容でライブ配信した。
配信した動画については、番組でアーカイブされることになっている。ところが、キズナアイの公式ツイッターは14日、アーカイブを中止すると発表した。
「昨日、私が発信したLIVE配信の情報で、一部の人間のみなさんを傷つけてしまいました。 理由は何であれ、私の行動で悲しむ人がいることがイヤなので、配信アーカイブは控え、関連のツイートは削除しました」
とはいえ、ライブを楽しんでもらったことには感謝を示し、「みんなへのありがとうは消えずに私の胸にあります。いつも、本当に。ありがとう!」とつづっている。
ツイッター上では、「アイちゃん気にしないでね応援してるよ」などと励ましの声が出る一方で、ライブのある内容が問題視されたためではないかとの見方が広がっている。
「バーチャル世界にまで政治持ち込むな」との声も
それは、9月13日夜のライブ配信に当たって、告知用のサムネイル画像に中国と台湾の国旗が並べられていたことだ。
実は、この画像を見た中国人とみられる人らから、台湾の国旗を載せたことに疑問や批判の声が、配信前からツイッター上などで相次いでいた。
中国語のほかに、「あいちゃん、中国と台湾の関係は非常に複雑です、政治を関与しないように注意してください」「明日の生放送は荒らされる」「今すぐ変えた方が...」などと日本語でも書き込まれた。
ライブ配信は、予定通り行われたが、やはり中国のネット掲示板など一部で非難の声も出て、「もっと慎重にすべき」とも指摘された。キズナアイ公式ツイッターの発表は、こうした声を受けて行われた可能性もありそうだ。
アーカイブを中止したことについて、「正しい判断」「事情があるならしょうがない」といった声も出たが、一方で、「バーチャル世界にまで政治持ち込むな」「謝罪する必要ないやろ。嫌なら見なきゃいい」との意見が出て、議論になっている。
キズナアイを運営する「Activ8(アクティベート)」は14日、J-CASTニュースの取材に対し、「ファンの気持ちを傷つけかねないので、一切コメントできません」と広報担当者が話した。
なお、18年に入ってからは、アメリカ政府の公式サイトから台湾の国旗が削除されたり、スポーツのアジア大会でスタートゲートの柱に描かれた台湾の国旗が隠されたりする騒ぎが起きている。いずれも中国からの抗議があったとされるが、台湾からは不満が出ている。