テニスの全米オープン女子シングルで日本人初の優勝を果たした大坂なおみが2018年9月13日、東レ パンパシフィックオープン(17日本戦開始)に出場するため帰国した。歴史的快挙を成し遂げる一方で、そのユニークな言動が世間に受け、一躍時の人となった大坂。今大会は全米オープン優勝後の第一戦目で日本開催ということもあり、日本中の注目が集まるが、連続Vへの道のりは厳しいものとなりそうだ。
東レ パンパシフィックオープンは、グランドスラム、プレミアマンダトリーに次ぐ世界トップレベルの大会で、ポイントを獲得するため毎年、世界ランク上位選手が出場する。今大会でも世界ランキング2位、3位、4位が名を連ね、大坂の前に大きな壁となって立ちはだかる。
ウォズニアッキには2戦全敗
その中でも最大の敵となるのが、元世界ランク1位で現在2位のキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)だ。同大会2連覇中で、2016年には決勝で大坂を破って優勝している。また、2018年全豪オープンでは悲願のグランドスラム初Vを達成。若干20歳で世界ランク1位に登りつめ、その後の低迷期を経て今年完全復活を果たした。地元デンマークでは国民的人気選手で、2016年リオ五輪に出場した際には、デンマーク選手団の旗手を務めた。これまで大坂はウォズニアッキに2度挑んだが、いずれも敗退している。
世界ランク3位のアンゲリク・ケルバー(ドイツ)も元世界ランク1位の実績を持つ強豪だ。2018年のウインブルドンを制し、グランドスラム3勝目をあげた。屈強な精神を持ち合わせる30歳のサウスポーは、173センチと上背はさほどないものの粘りのテニスで世界の頂点に立った。強烈なサーブ、ショットにも食らいつき、ラリーに持ち込んで相手を崩す。200キロのサーブを持つ大坂にとっても、ケルバーの粘りのテニスは大きな脅威となる。
自己最高位となる世界ランク4位のキャロリン・ガルシア(フランス)は、シングルでのビッグタイトルには縁がないが、ダブルスで2016年の全仏オープンを制している。WTAツアーではシングル5勝、ダブルス6勝と、安定した成績を残している。2017年の同大会では準々決勝で敗れベスト16に終わっているだけに、今年にかける意気込みは相当なものだろう。
ポイント争いのため「本気」で来る
今大会には、今年の全豪、ウインブルドン、全米をそれぞれ制した「女王」が出場する。シーズンも終盤に差し掛かり、ポイント争いもいよいよラストスパートに入る。世界ランク1位返り咲きを狙うウォズニアッキとケルバー、そして自己最高位の更新を目指すガルシア。全米オープンを制したとはいえ、大坂の世界ランクは7位。大坂のランクを上回る3人が「本気」で大坂を潰しにかかる。
大坂の不安材料となるのが調整不足。「なおみフィーバー」に沸き返る中、帰国した12日は、午前から凱旋会見を行い、その後も行事が続き、メディアに出ずっぱりだった。マイペースな大坂といえども、テレビ画面を通じて見る表情には疲労の色が濃く見て取れた。まず最優先されるのが疲労回復。そしてメディアに振り回されずに本戦に向けて集中力を高めるか。大坂は2回戦からの出場が予定されており、19日か20日のいずれかにコートに立つ。