価格競争の鎮静化、原油価格の上昇圧力・・・
その後も原油価格の上昇が続いて出光株も上昇を続けるわけだが、実は村上氏が出光経営陣との交渉で引き出した株主重視の条件が、株式市場に好感され続けているのだ。これも7月10日に発表されており、2020年3月期からの3年間に総還元性向50%超を目安にする、というもの。統合会社の3年間の合計純利益は5000億円以上を目指すとしている。「5年で500億円の統合効果」などを実現できれば、不可能な数字ではないだろう。還元する相手は当然ながら株主で、還元手段は配当と自社株買いということになる。50%ということは3年で5000億円の半分、2500億円もの金が株主に還元されるのだ。村上世彰氏恐るべしと言うべきだろう。自社株買いは既存株主の持ち株比率を高める効果がある、つまり株主の「分け前」が増えるのだ。大株主の創業家は3年間で百億円単位を手にする可能性があるとされるが、他の株主にとってもおいしい話に違いない。
純利益を稼ぐには本業が順調でなければならない。もちろん長期的にはガソリン需要は右肩下がりとなろうが、短期的には業界再編によって勝者なき価格競争の沈静化が見込まれるうえ、足元の原油価格の上昇圧力も「稼ぎ」を支援するだろう。7月以降、国内系、外資系の証券各社が出光の目標株価を相次いで引き上げた。ガソリン価格高止まりの影響を受ける消費者には迷惑な話だが、出光株は高値圏で推移するとの見方が多い。