慰安婦問題をめぐる朝日新聞の対応が、また後手に回っている。
韓国・済州島で若い女性が強制連行されたとする、いわゆる「吉田証言」が虚偽だったことを認めるなどする検証記事を2014年8月に掲載し、その英語版記事ページの一部に、検索エンジンにヒットしにくくなるタグが埋め込めれていたことが18年夏に発覚。指摘を受けた朝日は英語版記事から検索回避タグを削除したが、点検作業の際に、日本語版の記事に誤ってタグを設定。改めて指摘を受けて謝罪することになった。
社内確認用に入れたタグの解除漏れがあったと説明
問題となっていたのは、
「『済州島で連行』証言 裏付け得られず虚偽と判断」
「『挺身隊』との混同 当時は研究が乏しく同一視」
と題して掲載された記事の英語版。ページの中に、検索エンジンを回避する「noindex」「nofollow」「noarchive」といったタグがついていたことが18年夏になって発覚し、8月24日に夕刊フジ、翌25日に産経新聞が記事化して指摘した。これを受けて朝日新聞は8月27日にウェブサイトで、
「その(編注:記事配信の)際、記事に検索回避タグを設定し、社内の確認作業を経たのちにこのタグを解除して一般公開しましたが、このうちの2本で設定解除作業の漏れがあったことが分かりましたので、修正いたしました」
と説明していた。
日本語版の点検中に操作ミス?
ところがその後、翻訳元の
「『挺身隊』との混同 当時は研究が乏しく同一視」
の日本語版記事にも検索回避タグがついていることが判明。産経が9月9日朝刊で「朝日、日本語版も検索回避」の見出しで報じた。これを受け、朝日は9月10日にウェブサイトで改めて経緯を説明した。掲載された説明は、見出しの一部に
「追加のご指摘で見つかったタグの設定ミスについても修正し、8月27日付の本欄の説明を更新しました。申し訳ありません」
という経緯説明とお詫びが入るという珍しいものだった。それによると、英語版記事の件で取材を受けた際に日本語版についても確認作業を行ったが
「その際に配信システムの操作を誤り、日本語の記事の1本の設定が変わっていたことが分かりました」
と経緯を説明している。過去のウェブサイトの状態を確認できるサイトなどで調べる限りでは、朝日が説明するように、記事が掲載された14年8月時点では、検索回避タグは確認できない。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)