日本体操協会の塚原光男副会長(70)が2018年9月11日朝放送の「スッキリ」(日本テレビ系)に生出演し、初めてテレビの生放送でパワハラ騒動についてインタビューに応じた。
同日昼には、バルセロナ五輪銀メダリストの池谷幸雄氏が「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)で塚原副会長の説明に相反する証言をしており、その信憑性に疑問も残った。
「代表選手を1人1人、ミーティングする」
「スッキリ」司会の加藤浩次さんが番組冒頭、生出演の理由を尋ねると、塚原副会長は「報道が過熱した状況で、宮川選手はじめ色んな関係者にご迷惑をおかけしたことは、私の不徳の致すところでもあるので、お詫びしたい」と話した。10月に世界選手権(ドーハ)を控えている中で「選手達に大変な迷惑をかけている。とにかく沈静化したいという気持ちで出させていただいた」とした。
宮川選手が訴えていたパワハラ被害は、代表合宿初日の7月15日、塚原千恵子・女子強化本部長と塚原副会長から部屋へ呼び出され、「暴力の事実を認めないと厳しい状況になる」などと言われた――といったものだ。
塚原副会長は、強化本部長と2人で部屋にいたと認めた。加藤さんが「呼んだ理由は?」と質問すると、
「代表選手をそれぞれ1人1人、ミーティングするわけです。僕が(合宿に)いたのは、初日だったものですから、選手団に協会を代表してあいさつを。たまたま行っていたんです。1人1人そういうミーティングはするんです」
と答えた。
加藤さんは「宮川選手をそこに呼んだのは、意図はなく選手1人1人の順番として呼んだ?」と、重ねて質問した。塚原副会長は「もちろんです。1番最初に呼んだのは、本人がケガをして動けない状況だった(から)」と回答。その上で、
「もう1つは、彼女には二重契約の色んな問題が起きていて、そこに弁護士が入って争っていると。速見コーチの暴力の問題が、告発されているという状況があった。強化本部長としては、選手1人1人のトレーニング環境が重要ですから、ミーティングで一番先に契約の話をしました」
と、宮川選手を呼び出した2つ目の理由を説明した。
池谷氏「1人1人のミーティングはないそう」
こうした塚原副会長の説明に対し、9月11日放送の「ミヤネ屋」に生出演した池谷氏は相反する見方を示した。
「現場にいる選手たちから聞いているんですけれども、代表選手が1人1人呼ばれたというミーティングは全くないそうです。全員を呼んでいないし、今までも代表合宿で1人(だけ)呼ばれるということはなかったそうです。(宮川)紗江選手だけが1人呼ばれたという(こと)。そういう状況は今までなかったそうです、残念ながら」
池谷氏の反論は、これにとどまらない。
プロジェクト「2020東京五輪特別強化」について、塚原副会長が「通常はコーチと2人で練習する」と説明。加藤さんが「速見コーチも入れるんですか?」と聞くと、
「来てもらわなきゃ困るわけですよ。マンツーマンでやるのが基本ですから」
と答えていた。
しかし、宮川選手は「基本的に『2020』の専任コーチがいるから、速見コーチは入れないと言われた」と明かしており、塚原副会長の説明と矛盾する。この点について、塚原副会長は「全然違います。それは最近の話」と否定した上で、
「所属の問題が絡んでいるんですよ。(宮川選手の)所属クラブから文書が来た時に、速見コーチは暴力の対象になっていて、体操協会が聞き取りをしないといけない状況だと聞いた」
と述べた。
だが、池谷氏は「ミヤネ屋」で「いや~それはもっと前からの話」と反論。「暴力うんぬんというのは、文書が来たところから始まっている。でも、『2020』は昨年(17年)の頭からやっている。時期がずれています」との見方を示した。
宮川選手は18年6月に2020年東京五輪特別強化選手に追加されており、池谷氏は「(宮川選手は)1年半の間、『2020』じゃないからという理由で練習を切られていた」と訴えていた。
こうした池谷氏の反論もあり、塚原副会長のテレビ生激白は「不発」に終わった感が強い。
前日にも「ほとんどウソだと思います」
ちなみに、池谷氏は9月10日放送の「ミヤネ屋」に出演した際にも、9日放送の「Mr.サンデー」(フジテレビ系)の独占インタビューに応じた塚原夫妻の発言内容について、
「内情を知っている方々からすると、何でそんなにウソなことが正々堂々と言えるのかなということをみんな言われています」
とコメント。宮根さんから「あれウソなの?全部?」と聞かれた池谷氏は「ほとんどウソだと思います」と言っていた。
塚原夫妻VS池谷氏という泥仕合の様相も呈してきたパワハラ騒動。いずれかがウソをついていたのかどうか、第三者委員会の「最終決定」で明らかになる――!?