本田圭佑に監督の資質はあるのか カンボジア黒星発進の要因とは

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   メルボルンVのMF本田圭佑が事実上の監督を務めるカンボジア代表が2018年9月10日、ホームのプノンペンでマレーシア代表と対戦し、1―3で逆転負けを喫した。

   カンボジア代表が前半、果敢に仕掛け先制をするも攻撃型の戦術が機能せず後半に失速。現役選手と監督との異例の二足のワラジをはく本田の監督としての手腕に注目が集まった一戦だったが、多くの課題を残した結果となった。

  • 本田圭佑選手(18年6月撮影)
    本田圭佑選手(18年6月撮影)
  • 本田圭佑選手(18年6月撮影)

従来とは逆の「攻撃型」

   この一戦だけを見て本田の指導者としての能力を問うのは早計だろう。チームと合流してわずか1カ月で結果を求めるのは酷でもある。ただ、ひとつ言えることは、指導者ライセンスを持っていない者が、事実上の監督として一国の代表チームの指揮を執るということは無謀な挑戦であるということだ。

   カンボジアにおいてサッカーは人気スポーツだが、その環境はまだまだ発展途上である。選手のサラリーに関しても、欧州の各リーグやJリーグとは比較にならないほど低い。カンボジアの平均月収は約3万円ほどだが、カンボジアのサッカーのプロ選手の月収は約6万円程度。トップクラスになれば10万以上の月収を得る者もいるが、夢のある職業とはまだ言えない。

   練習環境もまた世界レベルには程遠い。ピッチの芝がきちんと整備されているスタジアムはごくわずかで、ほとんどのスタジアムは荒れた状態だという。2011年にカンボジア国籍を取得し、2016年リオ五輪に同国代表として出場した猫ひろし氏は、2018年9月11日付けの日刊スポーツ(WEB)で、「アンコールワットの周りをランニングしているとよく犬が追いかけてくるので、気をつけてほしい」とアドバイス。カンボジアならではのエピソードだ。

   本田に課されているのは、代表チームの強化とサッカー人気の向上だ。だが、現時点で本田が目指すサッカーは、代表チームに浸透していない。ひとつの理由は、歴代の代表チームは守備に重点をおいてカウンターをしかける戦術を用いてきた。これに対して本田の戦術は攻撃型。マレーシア戦でも最後まで攻撃型の布陣で臨んだ。これまでの戦術とはまったく逆の戦術を強いられた選手の足は後半パタリと止まり、結果、後半逆転の憂き目にあった。本田の改革はまずは失敗に終わった。

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