JALが仕掛ける「提携先争奪戦」 ガルーダともコードシェア...「拡大路線」鮮明に

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   日本航空(JAL)が、が海外との航空会社との関係を強めている。互いの便の座席の一部を買い取る共同運航(コードシェア)やマイレージプログラムなどでの提携が柱だ。

   JALは2010年の経営破綻後、公的支援を受けて再上場を果たしたが、これで競争環境が歪められたという指摘も相次いだ。そのため、国交省は「8.10ペーパー」と呼ばれる文書を出して、事実上、新規路線の開設を制限してきたが、その効力も17年3月末に切れた。これを受けて拡大路線を鮮明にしており、これまでANAと提携していた航空会社がJALに「転向」するケースすらある。

  • ANAと提携していたガルーダ・インドネシア航空がJALとの提携を発表した
    ANAと提携していたガルーダ・インドネシア航空がJALとの提携を発表した
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コードシェアで成田-デンパサール便が「復活」

   JALは18年9月6日、東南アジアの航空大手ガルーダ・インドネシア航空と包括的業務提携することで合意したと発表した。10月28日から日本とインドネシアを結ぶ路線や両国の国内線でコードシェアを始めるほか、今後はマイレージプログラムでも提携する。

   コードシェアの対象路線は、ガルーダが運航する羽田-ジャカルタ、成田-デンパサール線や、JALが運航する成田-ニューヨーク・ロサンゼルス便など。

   JALは自前でも成田-デンパサール路線を飛ばしていたが、経営破たん直後の10年度に廃止している。単価が低いレジャー客が中心で、搭乗率が高い割に採算性が低いことが課題だったためだ。JALとしては、コードシェアという限られたリスクで路線復活にこぎつけたと言える。北米進出を目指すガルーダにとっても、路線拡大につながるメリットがある。

   ガルーダは13年12月、全日空(ANA)とも同様の包括提携を結んでいる。ガルーダの説明によると、9月6日にジャカルタで行われた会見ではANAとの提携の今後については言及がなかったといい、ANAとのコードシェアについても「恐れ入りますが現時点ではお伝えできる内容がございません」と説明している。

両社とコードシェアもあるにはあるが...

   外国の航空会社が、JALとANAの両方と提携していたケースも、過去にはないわけではない。例えばタイ航空は17年10月までバンコク-関西、バンコク-福岡便でJALとANAの両社とコードシェアしていた。ただ、「全日空とガルーダの提携は将来的に解消される見込み」(9月6日、日経新聞)だとする報道もあり、今後ガルーダがANAからJALに「転向」する可能性もある。

   明確に「転向」したのはハワイアン航空だ。ハワイアンは12年からANAとコードシェアやマイレージなどで提携していたが、17年9月にJALと提携することを発表。当時、ハワイアンは「旧パートナー(編注:ANA)の戦略が違う方向に進み始めた」として、ANAとの提携を打ち切ることを明らかにしている。

航空連合超えて互いに食指

   それ以外にも、JALは17年6月にはロシアのアエロフロート航空、17年10月にはメキシコのアエロメヒコ航空とコードシェアなどで提携することを発表。さらに18年8月には、すでにコードシェア提携している中国東方航空と、共同事業実施に向けて関係を強化することを発表している。

   JALは、アメリカン航空などが主導する航空連合「ワンワールド」に加盟しているが、ガルーダ・インドネシア航空、アエロフロート航空、アエロメヒコ航空、中国東方航空は、エールフランスなどが主導する「スカイチーム」に加盟している。

   スカイチーム加盟のベトナム航空はJALとコードシェアで提携していたが、16年に「スターアライアンス」加盟のANAグループと資本・業務提携し、JALとの提携を打ち切った。航空連合の垣根を超えた提携先の奪い合いが激化している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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