シリーズ49作が公開された人情喜劇映画「男はつらいよ」の第1作公開から2019年で50年を迎える。
それに向けてシリーズ50作目となる「男はつらいよ」の新作映画の公開が決定した。しかし、「主演」とアナウンスされた渥美清さんや主要キャストなどすでに鬼籍に入った方も多い。どのように対応できるのか。
過去の作品をミックス
「男はつらいよ」は東京・葛飾区は柴又を主な舞台に、主人公でテキヤ稼業をやりながら全国を旅する車寅次郎(寅さん)と作品ごとに変わるヒロインとの恋模様や柴又の家族と起こす騒動を描いた人形喜劇だ。
2018年9月7日、東京都内で50周年プロジェクトの発表会が行われた。その中で「男はつらいよ」の新作映画が公開されると発表された。主演は渥美さんのまま、車家と諏訪家の「寅さん」の家族の物語を新たに撮影。過去の渥美さんの出演場面をミックスさせて構成するという。
渥美さん以外のキャストについても発表され、寅さんの妹・さくらを演じる倍賞千恵子さん、さくらの夫である諏訪博役を前田吟さん、2人の息子の満男役を吉岡秀隆さんがそれぞれ引き続き演じる。
過去の出演映像を織り交ぜながらも、新たに撮影した映像を加えるのは今回が初めてではない。渥美さんが亡くなった1年後の1997年に公開された、シリーズ49作目にして18年現在の最新作である「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」は、新作パートはわずかで、過去の作品の映像をメインに構成された。
しかし、純粋な新作は95年「寅次郎紅の花」から20年以上のブランクが空いている。そのため、先の3人以外の主要キャストで渥美さん同様、既に亡くなってしまった人もいる。
過去のケースを調べると
「おいちゃん」の愛称で知られる車竜造役の下条正巳さんが2004年に、「おばちゃん」の愛称で知られる車つね役の三崎千恵子さんが12年、くるまやの裏に工場を構えるタコ社長を好演した太宰久雄さんが1998年に亡くなっている。
シリーズ48作に登場した最重要人物でもあるこの3人の不在が大きな問題となるのは間違いない。
おいちゃん役は過去に2度交代している。初代の森川信が72年に病没。その後、松村達雄さんが演じたのち、下条正巳さんが最後までおいちゃん役を務めた。しかし、過去の作品から映像を使う際、柴又・くるまやのシーンではほぼ必ず登場するため、新作映像で新たに俳優を起用してしまうのは、配役にズレが生じてしまうため非常に難しい。
下条さんや三崎さん、太宰さんとも仮に存命であっても90歳代~100歳代であるため、劇中において亡くなってしまった設定にしてもおかしくはない。
また、93年に公開された「寅次郎の縁談」では題経寺(柴又帝釈天)の御前様を演じる笠智衆さんが亡くなってしまったため、彼の娘である冬子が登場し、近況を報告するという場面があった。このように柴又から離れた場所で暮らしているという設定にして、登場しないようにする設定もあり得る。
最後の撮影から大幅に変わってしまった「男はつらいよ」のキャスト事情に山田洋次監督はどのようなシナリオを用意するのか。
(J-CASTニュース編集部 大山雄也)