「不謹慎狩り」引き起こすソーシャル・ジャスティス・ウォリアー 長谷川京子は謝罪に追い込まれた

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   北海道で2018年9月6日未明に発生した最大震度7の地震を受け、芸能人への「不謹慎狩り」が発生した。女優の長谷川京子さんが6日、インスタグラムにアップした誕生祝いの写真を「失礼な事をした」と削除、謝罪したのだ。

   ファンと交流を楽しむはずのSNSが、大災害が起きると一転、厳しい検閲にさらされる。なぜ昨今、こんな現象が続いているのか。専門家はネット上にひそむ「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー」の存在を指摘する。

  • 「申し訳ありませんでした」とお詫び(画像は、インスタグラムのスクリーンショット)
    「申し訳ありませんでした」とお詫び(画像は、インスタグラムのスクリーンショット)
  • 「申し訳ありませんでした」とお詫び(画像は、インスタグラムのスクリーンショット)

長谷川さん「空気の読めないものをあげてしまった」

   長谷川さんは2018年9月6日、女優の井川遥さんを含めた4人で食事している様子の写真を、インスタグラムにアップ。知人の誕生日を祝う会だったようで、「これまたHappy Birthday!! さだちゃん&まき姉 #happybirthday#井川遥」と投稿した。

   インスタのコメント欄では、北海道で6日未明に発生した最大震度7の地震で被災した人がいるのに不謹慎だ、という趣旨のコメントも。長谷川さんはこうした声に配慮したのか、7日のインスタで

「昨日、わたしが載せていただいた写真で不快な気持ちになった方がいたと思います。北海道では大きな災害があり、労りの言葉なく、空気の読めないものをあげてしまったこと、現地で大変な思いをされている方に失礼な事をしてしまいました。申し訳ありませんでした」

とお詫びした。

   続けて「写真のものは随分前に撮影したもので、ここ数日行われたものではありません。一緒に写っている方にも迷惑をかけてしまいました」と説明。その上で、

「これからは今まで以上に、このような事が起きないよう注意していきます。そして、災害に遭われた方たちに心よりお祈りを。少しでも早くて事態が落ち着き、穏やかな生活に戻れますように...」

と被災地の1日も早い復興を願い、件の写真を削除した。

   SNSなどのウェブサービスに詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏は、2018年9月7日のJ-CASTニュースの取材に、今回のようなケースは「不謹慎狩り」にあたると指摘した。不謹慎狩りとは、芸能人が大災害の発生時にSNSで楽しそうな投稿をすると、「被災した人がいるのに不謹慎」と批判を浴びる現象だ。

生活の鬱憤を晴らそうとしている可能性も

   高橋氏は「長谷川さんも決して悪気はなかったはず。過剰反応だと思います」と指摘。その上で、

「実際、炎上に関わっている人がごくわずかであることは、これまでの統計で明らかになっています。積極的に投稿する一部の人たちが、ネット上で『炎上』の空気を醸成した後、メディアやまとめブログが拡散してしまうのです」

と、炎上の流れを説明した。具体的には、以下のようなものだという。

「最初に火をつけるのは、『ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー』と呼ばれる人たち。ネット上で、ある種の正義感を振りかざす人たちです。芸能人を隙あらばと、徹底的に攻撃することで、自らの満たされない生活の鬱憤を晴らそうとしている可能性が高いです。

ネット上のごく限られた世界で暮らしている人たちが、そのような言説を正しいと思い込み、炎上に加担する。こうして『不謹慎狩り』は大きくなっていくのです」

   続けて、高橋氏は「『不謹慎狩り』が目立つようになったのは、ツイッターが力を持ち始めてから」と説明。「初期のツイッターは、お互いが自由に言論を戦わせる場でしたが、広く普及するに従い、次第に一部の人が声を大にしてモノを言う場となってきています」と、ツイッター言論の変遷を指摘した。

「11年の東日本大震災の時、『不謹慎狩り』はあまりなかった。16年の熊本地震前後から、広がりをみせたのではないでしょうか」

   9月6日の北海道地震以後、長谷川さんの他にも、多くの芸能人がSNSで被災地に応援の言葉をおくっている。投稿する際、どんなことに気をつけるべきなのか。高橋氏に聞くと...

「被災地と関わりのある方は、SNSで何らかのコメントを発信されるとよいでしょう。ファンの方は、そうした投稿に励まされます。ただ無関係な投稿をすると、今回のように不必要に攻撃を受ける可能性もあるので、一言か二言『早い復興をお祈りいたします』と書くべきです。もちろん、しばらく発信を控えるのもアリだと思います」
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