ホワイトハウスは「ノイローゼ状態」 大物記者「トランプ暴露本」の衝撃度

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   ニクソン元米大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」報道に携わったボブ・ウッドワード氏が出版するトランプ政権の暴露本で、ワシントンに激震が走っている。タイトルは「FEAR(恐怖)」。

   関係者に対する数百時間におよぶインタビューなどで構成され、トランプ氏が側近らを罵倒したり、逆に側近がトランプ氏の指示を無視したりする様子を克明に描写。ホワイトハウス内の相互不信を浮き彫りにしている。

  • 書籍で暴露されたトランプ氏の発言は本当か (C)FAMOUS
    書籍で暴露されたトランプ氏の発言は本当か (C)FAMOUS
  • 書籍で暴露されたトランプ氏の発言は本当か (C)FAMOUS

就任1か月後に北朝鮮への先制攻撃計画策定を指示?

   書籍は2018年9月11日(米東部時間)発売予定で、分量は448ページに及ぶ。「恐怖」というタイトルは、ウッドワード氏が16年に行ったインタビューで、トランプ氏が「本当の権力とは、この言葉は使いたくもないが、『恐怖だ』」と話したことにちなんでいる。ウッドワード氏が在籍するワシントン・ポストが18年9月4日付で、その概要を掲載した。

   書籍によると、ホワイトハウスは「ノイローゼ状態」で、「行政的クーデター」に等しい行為も行われていた。

   その兆しは17年1月の就任から1か月の時点で現れた、ダンフォード統合参謀本部議長に北朝鮮への先制攻撃計画の策定を指示して混乱させたとされる。金正恩委員長を「小さいロケットマン」呼ばわりしたりしていた17年秋には「これは指導者対指導者の事柄だ」などとして対決姿勢を強めたという。

朝鮮半島での米軍のプレゼンスの意味は...?

   とりわけ

「安全保障チームは、世界情勢への関心と知識の欠如、軍事と情報機関リーダーの主流な見方への軽視に悩まされてきた」

といい、18年1月19日のNSC(国家安全保障会議)では、北朝鮮の弾道ミサイルを発射直後に検知する能力など、朝鮮半島での米軍のプレゼンスの重要性を無視。この地域に経費を費やしていることの意義を疑問視した。マティス国防相は「第3次世界大戦を防ぐため」だと説明し、トランプ氏が部屋を出ると「(小学)5~6年生」の理解力だ、とこぼしたという。

   ケリー首席補佐官はトランプ氏について「たがが外れている」と表現。小規模の会合ではトランプ氏について「ばか」とも。さらに、

「トランプ氏は完全に脱線している。ここはクレージータウンだ。ここで何をしてるのか分からない。これまでで最悪の仕事だ」

などと「職場崩壊」を嘆いた。

   ケリー氏の前任者、プリーバス前首席補佐官にとって、トランプ氏の寝室は「悪魔の作業場」だ。テレビを見ながら罵倒ツイートを連発することにちなんだ表現で、ツイートが連投されることが多い早朝と日曜夜は「魔女の時間」だそうだ。

「Fワード」使いながらアサド大統領「殺してしまおう」

   前出の「行政的クーデター」にあたる行為も多い。17年4月には、シリアのアサド政権が一般人に化学兵器を使用していたと米政府が結論付け、トランプ氏は「くそったれ」などの意味を持つ、Fで始まる4文字の英単語を使いながら、

「彼を殺してしまおう。やろう。沢山殺そう」

などとマティス国防長官に指示したとされる。マティス氏はその場では同意しつつ、直後に電話を取って、部下に「あれは一切やらない。もっとちゃんとしたものをやる」などと指示した。

   通商分野でも同様だ。コーン前国家経済会議(NEC)議長や、ポーター元秘書官は大統領が書類に署名してしまわないように机から隠したこともあるという。この書類は北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓貿易協定からの撤退を可能にする内容だ。コーン氏はこの理由を「国の安全を守るため」だと主張し、後にトランプ氏のことを「プロのうそつき」と評するようになったという。

   トランプ氏が周辺に放ったとされる暴言の数々も紹介されている。8つ年上のロス商務長官には、

「あなたのことは信頼していない。もう交渉はしてほしくない。あなたは峠を越えた」

とけなした。セッションズ司法長官については、ポーター秘書官に対して、ロシア疑惑への対応を理由に「裏切者」呼ばわり。アクセントをばかにしながら、

「知恵遅れで、ばかな南部人だ。ひとりではアラバマの田舎弁護士にすらなれなかっただろう」

などと述べたという。

マティス氏「フィクション楽しく読んだ」「ワシントン文学」

   トランプ氏はツイッターで、書籍について

「すでに信頼をなくしているウッドワード氏の書籍には、多くのウソと偽物の情報源がある」

と主張。本で発言が紹介された人も、

「私が大統領のことをばかだと呼んだのは正しくない。事実は完全に逆だ」(ケリー氏)
「総じてフィクションを楽しく読んだが、これは独自の『ワシントン文学』で、匿名の情報源には信頼性がない」(マティス氏)

などと反論するコメントを発表している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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