錦織、ジョコビッチ攻略のポイント 準決勝進出と「4時間8分の代償」

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

スタミナ問題

   ジョコビッチ攻略のもうひとつのポイントは錦織のスタミナだ。錦織の最大の武器は、俊敏なフットワークと爆発的な瞬発力。身長178センチと世界のトップ選手と比べてみても体格的に恵まれてはいない。それを世界トップクラスのフットワークと瞬発力でカバーしてきた。積極的にコートの中に入っていき、縦横無尽に走り回る。錦織の代名詞でもある高い位置のボールを飛び上がって叩き込む「エアケイ」もまた、錦織の持つ身体能力の高さの証明である。無尽蔵ともいわれる錦織のスタミナだが、準々決勝の「4時間8分」がどのように影響するか、疲労の回復具合が大きなカギを握る。

   「過去の実績は関係ない」。マイケル・チャンコーチは錦織に言い続けてきた。2011年にマイケル・チャンコーチに出会うまで、錦織になかったものは「自信」だった。すでに技術的には世界のトップクラスにいたが、世界の舞台では、ここ一番で勝てなかった。精神的な弱さがそこにはあった。マイケル・チャンコーチはそれを見抜いていた。コーチ就任後は、徹底して精神力を鍛えあげた。「相手よりも、自分が勝つという強い意志が必要だ」。身長175センチと小柄ながらグランドスラム優勝1回、準優勝2回の実績は、説得力十分だった。

   4年前は、錦織の正確かつ強烈なリターンを警戒するあまり、ジョコビッチのサービスが乱れた。ファーストサーブが入らないジョコビッチのセカンドサーブを狙いすまし、次々とリターンエースを奪い、流れを引き寄せた。ラリーでも試合巧者のジョコビッチに一歩も引けを取らなかった。世界と渡り合う「自信」が、攻めのテニスとなり、番狂わせを演じて見せた。

   フルセットの末に勝利した錦織に対して、ジョコビッチは貫禄のストレート勝ちでスタミナを温存させて準決勝進出を決めた。日本時間9月8日の準決勝は、コート上の「敵」と「疲労」との闘いとなるだろう。

1 2
姉妹サイト