風雨の中、吹き飛ばされるトタン屋根――台風21号が猛威をふるった2018年9月4日、関西地方を中心とした日本各地で、こんな光景が繰り広げられた。
うちの屋根は大丈夫だろうか? そんな心配を抱える人もいるだろう。だが、こうしたときこそ注意しなくてはいけないのが、悪徳修理業者の存在だ。
「点検は無料」といわれ見てもらうと...
千葉県に住むAさん(40代男性)の自宅はあるとき、台風で屋根の一部がはがれる被害を受けた。そんな折、ちょうど近所で工事をしていた業者にその話をすると、「点検は無料」と言われたので、見てもらうことに。
「早く工事をした方がいい。金額は300万円だ」
「このまま放置すると雨漏りする」
点検を終えた業者からは、思いもよらぬ宣告が。300万円も用意できない、と困惑するAさんに、業者は「応急処置なら100万円でいい」「お金がないなら借りればいい」と強引に迫る――。
これは、国民生活センターが公表している過去の相談事例だ。
自然災害に関する消費者トラブルは、毎年2000~3000件前後が国民生活センターに寄せられている。たとえば昨2017年度の相談件数は、2687件に達した。災害に「便乗」した、上記のような強引な修理の勧誘はその典型例である。
150万円払ったのに工事もせず...
もう一つ紹介しよう。
「台風で屋根が壊れたので、電話帳で見つけた業者へ修理を依頼した。業者はすぐに来て、屋根にブルーシートを掛ける応急処置を行った。その際『瓦のままでは重いので新しい屋根にした方が良い』と言われ、費用の半額である150万円を振り込んだが、4か月経っても工事が始まらない」(国民生活センターが公開している事例、相談者は60代女性)
国民生活センターの担当者は2018年9月5日、J-CASTニュースの取材に、こうした勧誘に対しては、「持ち帰って検討する、複数の業者に見積もりを取る、周囲に相談するなど、『その場で決めない』ことが重要です」と語る。クーリングオフが可能な場合もあるので、困ったときは「消費者ホットライン(188)」に電話してほしいという。
天災に関する消費者トラブルはさまざまなパターンがあり、他にも被災地への寄付を募る、と称して金品をだまし取る、などの手口がある。これについても担当者は、「相手は『かわいそう』という人の善意を利用します。寄付先の団体の活動状況など、慎重に確認してください」とした。