ラグビー国内最高峰、トップリーグの宗像サニックスブルース(福岡県宗像市)が、「(東京都)町田市に関わる方々」の気持ちを傷つける言葉をサイト上の告知で使ってしまった、として謝罪した。
当初、町田市内の競技場について、「秩父宮ラグビー場とは比較にならないほど遠く不便」などと表現し、ツイッターでは「失礼」といった声が出ていた。
「お気持ちを傷つける言葉」があったと謝罪
宗像サニックスは2018年9月4日、チーム公式サイトで「お詫び」を発表した。試合後のファンサービスに関する報告(3日)の記載の中で、「町田市野津田公園陸上競技場に関する部分で『不便』など、町田市に関わる方々のお気持ちを傷つける言葉」が含まれていたとして、
「ここにお詫び申し上げます」
と謝罪した。さらに、
「尚、今後は、ラグビーフットボール協会の告知に頼らず、チームとして必要な告知を積極的に行っていく所存です」
との方針も明らかにした。
今回の謝罪に至る騒動の発端は、公式サイトで3日に公表した情報。この競技場で8月31日夜にあった日野レッドドルフィンズ(東京都日野市)との試合のあと、サインに応じるなどのファンサービス(グリーティングタイム)を行わなかった事に関して事後説明をした内容だ。
「事前に、ラグビーフットボール協会より、試合終了時刻が遅く、立地の都合上、競技場最寄駅まで時間がかかることが予想されるので、お客様に安全に帰宅してもらうため(略)、試合後も、グラウンド外でサインや写真撮影をしないように、との指示がありました」
としたうえで、
「秩父宮ラグビー場とは比較できないほど遠く不便な場所での開催でもあり、(略)ファンサービスを控えさせていただきました」
と続けた。この続けた部分の「遠く不便」という言葉が、一部の地元関係者らの反発を招いてしまった。
抗議のメール・電話は「10件程度」
ツイッターには、
「ホント、失礼だね」
「2度と来るな!不便で悪かったな!」
「FB、HPへ抗議文を送らせて頂きました。配慮に欠ける発言、競技場を侮辱するような表現の早期撤回と謝罪を求めます」
といった怒りの声が相次いだ。
こうした状況を受け、宗像サニックスでは翌4日午前、公式サイトに先に紹介した「お詫び」を載せた。チームの広報スタッフに4日午後、話を聞くと、直接の抗議メール・電話が10件程度あり、さらにSNS上での反響の大きさを受けてお詫び掲載を決めた。また、文章中に
「今後は、ラグビーフットボール協会の告知に頼らず、チームとして必要な告知を...」
とある箇所について「読みようによっては、チームとしては『協会からの指示』を告知しただけなのだ、という弁解とも受け取れるが...」と質問すると、「遠く不便」といった表現は、「協会からの指示」内容には含まれておらず、あくまでチームの責任だとして、あらためて謝意を表明した。
実際に「最寄駅」から競技場までは、時間はどれくらいかかるのか。施設や公共交通機関の公式サイトによると、宗像サニックスが当初の報告で例に挙げた秩父宮ラグビー場(東京都港区)は、「(東京メトロ銀座線)外苑前駅から徒歩5分」「(JR総武線)千駄ヶ谷駅・信濃町駅から徒歩15分」となっている。
一方、町田市立野津田公園(陸上競技場)は、「小田急線町田駅からバスで『野津田車庫』(非渋滞時で26分)へ。さらに、バス停から公園南口まで徒歩約15~20分」「小田急線鶴川駅からバスで『野津田車庫』(同10分)へ。(以下同)」などとなっている。この南口から競技場までは「徒歩約10~15分」かかる。
こうした数字の違いもあり、宗像サニックスへ同情的な声も出ており、
「散々な目に合っているな。(略)町田が公共交通の便があまり良くないのも事実だし」
という指摘も見受けられた。
8月31日の試合(リーグ戦第1節)は、宗像サニックスが3対33で敗れた。次戦は9月7日で、対神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦が北海道札幌市(月寒屋外競技場)で行われる。サニックスは昨(2017―18年)シーズン、ホワイトカンファレンス(8チーム)で7位だった。