企業収益にも連鎖する不安
今回の報告によると、家庭債務の累積が消費に働く作用は家庭部門の内部に限られているわけではない。とりわけ企業部門の連鎖反応を引き起こす。 家庭債務の過度の累積は、家庭における消費を大いに圧迫し、総需要を下げることになろう。
総需要の低下は、必然的に企業収益にマイナスの影響を及ぼし、企業も経営を維持するためにレバレッジをかけざるを得なくなる。
企業業績が下がれば、従業員の昇給にも影響が及び、家庭経済の流動性の改善がより難しくなり、さらに家庭の消費が冷え込み、引いては総需要も後退することになり、従って、企業の経営業績は一層悪化する。
企業の活力が減退するならば、債務を期限までに償還できるかどうかに直接影響し、この影響がさらには銀行システムにも及び、銀行システムの安定性にも影響する。
中国社会科学院金融重点実験室の劉煜輝部長は、7月21日にあるフォーラムで
「我々は3年ないし5年の苦しい暮らしをするだろう」
と警告している。国外ではトランプ大統領が仕掛けてきた貿易戦争があり、国内では企業も家計もたいへん苦しい状況にある。とくに限界に近づきつつある家庭債務の累積が中国経済に与える影響は極めて大きい。
(在北京ジャーナリスト 陳言)