上から目線のサマータイム導入、大手紙は「慎重」で歩調が一致

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大手紙は次々と疑問を提示

   風向きの変化には、大手新聞の論調が効いていると思われる。国民の関心が高いことから、各紙、連日のように様々に報じ、メリット、デメリットを分析するなどしているが、時間の経過とともに、慎重な論調が勢いを増し、23日までに出そろった大手6紙の社説(産経は「主張」)は、日ごろ安倍政権支持が目立つ読売、産経を含め、慎重論で完全に歩調がそろった。大きなテーマでは2016年末のカジノ解禁法案の時以来の6紙「全会一致」だ。

   具体的な最大の問題がシステム改修だ。日経(8月23日)は「まず懸念されるのはコンピューターシステムの対応だ。......やはり大がかりなシステム上の変更が必要となった『2000年問題』の場合、金融業界は前年半ばにはシステム修正をほぼ終え、点検段階に入った。米マイクロソフトも夏時間などへのシステム変更には1年以上かけるようウェブサイトで助言している」と指摘し、極めて重い課題だと強調。読売(19日)も、「ある鉄道会社は『始発を早めても、終電の前倒しは苦情が出る可能性があり、難しい』と困惑している。鉄道各社は、夜間の保守点検時間の不足も懸念している」と、具体的に指摘している。

   健康への影響については、「近年、冬時間と夏時間の切り替え時に、従来の想定以上に睡眠と健康に影響を及ぼしているとの研究結果が出ている。日本睡眠学会も、いまでも短い日本人の睡眠時間をさらに削り、健康障害を広げかねないと警告している」(朝日、12日)、労働強化への懸念では、「明るいうちは仕事を続けようという意識が抜けず、結果的に残業が増えることを心配する声がある。『働き方改革』に逆行しないだろうか」(読売)、「韓国も1988年のソウル五輪に合わせて導入したが『労働時間が長くなった』などとして撤回した。こうした過去の事例も検証してもらいたい」(産経、9日)といった指摘が並ぶ。

   今回の議論の始まり、進め方への疑問も多くが指摘するところ。「『スポーツの祭典』を錦の御旗に、2年足らずのうちに実行しようというのは、短兵急に過ぎないか」(毎日、10日)、「号令一下で人々を動かそうとするかのような発想は、あってはならない」(朝日)と、上から目線ともいえる組織委の姿勢に苦言を呈し、「五輪対策であれば、競技時間の変更で事は足りよう」(読売)と突き放す。「大会運営全体を考えての提案なのか疑問が拭えない」(毎日)のは多くの人が感じるところだろうし、まさに、「拙速は厳に慎むべきである」(産経)ということだ。

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